――給与面の記述から、あやしい求人を見抜く方法があれば教えてください
新田氏: 給与がやたらと高い会社は、ノルマが厳しい場合や残業時間が長い場合があります。平均的な学部卒の初任給は20万円程度のはずですが、30万円などと比較的高額な場合、「歩合給」や「見なし残業代」が含まれている可能性があります。
仮に総額が「月給30万円」だとしても、その中に「80時間分のみなし残業代8万円分込み」などというケースもあるのです。目先の金額に引かれて入社した結果、毎日終電で帰宅する――といったことを避けるためにも、給与の内訳が明示されていない場合は必ず聞くべきです。
――労働環境に自信がある企業であれば、面接でこうした点を突っ込んで聞いても堂々と答えてくれるということですね。
新田氏: はい。ただ、選考にあっさりと受かる場合も注意が必要です。面接回数が少ない、面接時間が短い、面接中は雑談ばかりで何が評価されたのか分からない――などのケースは気を付けましょう。
適切なプロセスを経て評価され、内定を得たことに納得できる企業に入社すべきです。
――あっさり受かる企業はなぜ危険なのですか。
新田氏: 本来、人物像の見極めは慎重になされ、相応の時間を要するものです。しかし、ブラック企業の場合は一定数の退職者を見込んでおり、「頭数さえそろえば誰でもいい」と考えていることが多いため、選考が厳しくない場合が多いのです。
――こうしたブラック企業が存在する一方、近年は「テレワーク」「残業削減」などの“働き方改革”を進める企業が増えています。充実した社会人生活を送るためにも、就活生はこうした“ホワイト企業”を積極的に受けるべきでしょうか
新田氏: 働き方改革を実践している企業に、やる気のある人材が集まるのは歓迎すべきことです。就活生は、ぜひ優先的に検討してほしい。ただし、想像以上にハードワークな環境であることを覚悟すべきです。
以前のインタビューでもお答えした通り、働き方改革を進める企業は「仕事がラクでプライベートと両立できる企業だ」などのイメージが強いですが、実際は逆です。
本当に働き方改革を実践できている企業は、残業前提の間延びした仕事方法を改善し、他の会社が10時間かけて取り組んでいる仕事を8時間で終えているのが実際のところです。
――「仕事はほどほどに、プライベートを楽しみたい」と考えている就活生がうっかり入社すると、スピード感に付いていけず苦しむ可能性もありそうですね。
新田氏: はい。入社後、勤務時間は濃密なものとなり、ダラダラする暇もなく仕事が降ってくる環境に身を置くことになるでしょう。終業時間には“精魂尽き果てる”状態となり、慣れるまでは遊ぶ余力は残っていないはずです。
ホワイト企業に入っても“こんなはずじゃなかった”と感じる学生が出てくる可能性はありますが、こうした環境から逃げずに身を置き続けた人材は効率的な仕事の仕方が自然と身に付き、どこでも通用するスキルを手に入れられるでしょう。
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