厚生労働省は3月15日、労働基準関係法違反の疑いで送検された企業のリストを更新した。今年2月までの分として60社を追加した一方、公表日から1年が経過した企業などを削除し、掲載企業は450社となった。
昨年5月に初公開し、パナソニックなどの大企業が名を連ねる“ブラック企業リスト”として注目を集めた。公表から1年がたったため削除されたが、電通本社や日本郵政などもリスト入りしていた。
今回の更新では、2月の更新で追加された「アート引越センター」運営元、アートコーポレーションの京北支店(東京都北区)が、わずか1カ月で削除された。
同支店は、2015年に「36協定」の延長時間を超える違法な時間外労働を労働者5人に課していた旨が発覚し、リスト入りしていた。
厚生労働省に削除の理由を聞いたところ、「個別の事案についての詳細な回答はできないが、著しい体制改善があったため」(監督課)とコメント。同支店を書類送検した東京労働局に具体的な改善内容を聞いたが、同日午後4時の時点で回答は得られなかった。
ただ、アートコーポレーションは17年8月から、大手引っ越し業者として初めて定休日を設けるなど“働き方改革”に注力。従業員の満足度・定着率の向上に取り組んでいる。
今回の更新では、古民家での宿泊体験などを提供する「ふるさと弥栄振興公社」(島根県浜田市)が、公益財団法人(公財)として唯一リスト入りした。
島根労働局によると「同法人の事務局長(当時)は、スタッフが休日に労働している事実を知りながら、その旨を記載せずに労働時間記録を提出するなど、労働基準監督署に虚偽の報告を行っていた」という。
このほか、発がん性などが指摘されている物質「トリクロロエチレン」を用いて作業する際、従業員を守る役割を果たす「特定化学物質作業主任者」を選任しなかった清掃業者(茨城県常総市)なども追加。これまで通り、外国人技能実習生に対する賃金未払いで送検された企業も多かった。
厚労省は「このリストは、過労死ゼロを目指す取り組みの一環で更新している。公開から1年弱が経過したが、一定の抑止力はあると捉えている」(同)と話している。
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