女子レスリングのパワハラ問題、一体誰が得をしたのか赤坂8丁目発 スポーツ246(1/5 ページ)

» 2018年04月08日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

 一応の決着を見た。

 レスリング女子で五輪4連覇した伊調馨選手が日本レスリング協会の栄和人強化本部長からパワハラを受けていたとの告発状が内閣府に提出された問題についてだ。レスリング協会は第三者機関から調査報告を受け、6日の緊急理事会後に記者会見。栄氏による伊調選手へのパワハラ行為が複数回にわたってあったことを認め、謝罪した。栄氏は同日付で強化本部長を引責辞任。日本女子レスリングを世界のトップへと引き上げた功労者は栄光から一転して奈落に落ちた。

 パワハラ行為と認定されたのは栄氏が自ら指導する中京女子大(現至学館大)を離れて東京に転居した伊調選手に対し、2010年に日本代表合宿で「よく俺の前でレスリングができるな」と暴言を吐いたことなどの4件。他にも栄氏は伊調選手を指導するコーチの田南部力氏に「伊調の指導をするな」と暴言を吐いたという。

 確かに度が過ぎる行為だ。しかし、栄氏にだけ責任を被せて幕引きを図ってはいけない。やはり、この問題の発火点には日本女子レスリング界における至学館派と反至学館派の激しい覇権争いが見え隠れしているからである。取材を重ねてきた立場から、それをひも解いていきたい。

至学館派と反至学館派の激しい覇権争いが見え隠れ
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