セコムとイオンが連携 「警備員半減システム」の受注へ中国の「人手不足」にも商機見出す(1/2 ページ)

» 2018年04月11日 08時00分 公開
[今野大一ITmedia]

 セコムとイオンは、商業施設の保守、管理業務を外部向けに始める。人の動きを人工知能(AI)で解析し、異常を検知するセコムの遠隔監視システムと、イオンが培った店舗管理技術を融合させ、警備員の人員を半減させることができる。背景には警備員の深刻な人手不足があり、「省人化」によって新たなビジネスモデルを構築する構えだ。

 セコムと、施設管理を手掛けるイオンの子会社イオンディライトが連携し、大型商業施設や空港など新規顧客の開拓を目指す。セコムは監視カメラやセンサーによって、自動的に群衆の動きを解析する遠隔監視システムをすでに構築している。このシステムは、人が密集していたり、同じ方向に同時に逃げたりといった異常行動があった際、自動的に検出する。問題があった場合にのみ緊急発進拠点から対処員を送り出す仕組みのため、常駐する警備員数を減らすことができる。遠隔監視システムの導入には、大型施設の場合、初期費用として2000万円ほどかかるものの、管理・警備コストは約4割削減できるという。

 まずイオンのショッピングセンター数店舗で、どのくらい省人化できるかを半年間、実証実験する。その後イオングループ以外の顧客にも対象を広げ、2019年10月頃までに国内100施設からの受注を目指す。

phot イオンでは警備員の人手不足が続いている

必要な時にだけ人間が対応

 大型ショッピングセンターでは、設備の保守や警備の人員として20人程度が必要となる。だが、この遠隔監視システムを導入すれば夜勤担当をなくすことができるため、常駐者も半分程度まで減らせるという。「24時間365日常駐する必要があった警備員も、遠隔システムによって代用が可能です。このシステムは警備だけでなく、エレベーターやボイラー、水槽といった設備に異常があった際にも応用が可能です」(セコム広報)。

phot カメラが自動的に異常を感知する

 2月に実施された東京マラソンの警備でも、セコムの遠隔監視システムが活用された。「スタート地点などに設置された固定カメラに加えて、警備員が胸につけているカメラが群衆の動きを監視しています。人が倒れてしまうなどの異常な行動を感知することで、安全な運営に寄与するのです。人の目だけでなくAIでの画像認識によって警備も効率的になります。これまで培ってきた技術を、今後は大型商業施設などにも応用したいと考えています」(セコム広報)。

 一方のイオンディライトは、施設の設備機器の点検に加え、空調や照明のメンテナンス、清掃など総合的な管理業務を手掛けている。セコムの遠隔監視システムとの連携により、今まで人の手によって実施していた作業の省人化が可能となる。例えば警備員の巡回や点検業務、シャッターの上げ下ろしといった作業も、遠隔操作でできるようになるためだ。

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