セブンイレブン、配送にトヨタ開発のFC小型トラックを導入へFCV需要増を図る

» 2018年06月07日 17時05分 公開
[ロイター]
photo 6月6日、セブン−イレブン・ジャパンとトヨタ自動車は、セブンイレブンの店舗に商品を運ぶトラックとして、トヨタが開発した水素を燃料として走る燃料電池小型トラックを2019年春に2台導入し、実証実験を行うと発表した。都内で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 6日 ロイター] - セブン−イレブン・ジャパン(東京都千代田区)とトヨタ自動車<7203.T>は6日、セブンイレブンの店舗に商品を運ぶトラックとして、トヨタが開発した水素を燃料として走る燃料電池(FC)小型トラックを2019年春に2台導入し、実証実験を行うと発表した。

トヨタは商業車両に活用することで需要増を図り、水素ステーションの拡大などにつなげたい考え。一方、セブンイレブンは、環境配慮型の店舗・物流の拡大を進めたいとしている。

FC小型トラックには、トヨタのFCで走る乗用車「MIRAI(ミライ)」のFCユニットと水素タンクを搭載。走行中のCO2排出がなく、FCユニットで発電した電気は、商品の冷蔵・冷凍にも使われる。

トヨタの友山茂樹副社長は「持続可能な水素社会を構築しようとすると、水素の安定供給、安定利用の拡大が必要」と述べ、商業車での展開によって水素の需要拡大を図りたいとの考えを示した。

トヨタは2014年に世界初となる量産型燃料電池車(FCV)のミライを発売。ただ、車両価格が700万円超と高額な上、脆弱な水素ステーション数がネックとなり、当初の期待より普及が進んでいない。

友山副社長は、FC小型トラックが1日に使用する水素は「ミライの30―35倍程度」と説明、「水素のインフラを普及させるには、水素の需要が増えなければならない。乗用車だけでは限界がある」と語った。

FC小型トラックは冷凍車で水素を約7キロ積載でき、1回の水素フル充填で約200キロ走行でき、セブンイレブンの配送車が1日に走行する標準的な距離を賄える。

両社は、FC小型トラックの導入のほか、2019年秋頃から店舗にFC発電機とリユース蓄電池を導入。店舗で使用する再生可能エネルギーや水素由来の電力の比率を高め、CO2削減を進めるなどした次世代店舗作りを進める。

セブンイレブンは、2030年までに店舗での再生可能エネルギー利用を現在の数%から20%まで引き上げるほか、CO2排出量を13年比約27%削減する目標を掲げている。

両社は、17年8月から、セブンイレブンの物流と店舗の省エネルギー、CO2排出削減に向けた検討を開始していた。

トヨタは2020年代には本格的な普及をにらみ、ミライ以外の乗用車モデルも増やす考えで、FCのバスやトラックなども含め、世界で年間3万台以上のFCV販売を目指している。

(清水律子 白木真紀)

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