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» 2018年07月04日 07時30分 公開

3年で5倍に:ANAで年21万回も「グッドジョブ!」が交わされる理由 (1/4)

ANAグループが実施している「Good Jobカード」。長年の取り組みだが、近年急激に利用回数が伸び、2017年には21万回に達した。称賛し合う取り組みがここまで浸透した背景には何があるのだろうか。

[加納由希絵,ITmedia]

特集:「褒め合い」が会社を変える

 厳しく指導して若手社員を育てる……という時代ではない。しかし、どのように部下と接したらいいか分からないという人も多いだろう。日本企業では、まだまだ「称賛」が浸透していないのが現状だ。

 「褒める」コミュニケーションをどのように実践すればいいのだろうか。難しく考える必要はない。「褒め合い」を上手に取り入れている企業の事例や専門家の話から、いま実践できる職場改革を考える。


 ANAグループでは2017年度、21万回の「グッドジョブ!」「ありがとう」が飛び交った。何の数字かというと、お互いの仕事の良いところを褒め合う「Good Jobカード」が使用された回数だ。

 この取り組みの始まりは2001年で、長い歴史がある。ところが、近年になって変化が起きている。14年までのカード使用枚数は年間4万枚程度だったが、15年に9万、16年に12万、そして17年には21万に達した。わずか3年で5倍に増えたのだ。

 “褒め合うカード”に取り組む企業は少なくない。「似たような制度はウチにもある」と思い当たる人もいるだろう。しかし、積極的に活用できていないケースも多いのではないだろうか。約4万人が勤務するANAグループでGood Jobカードが浸透した背景には何があるのか。この取り組みを担当する、全日本空輸人事部 ANA's Way推進チームの担当者に聞いた。

photo ANAグループの「Good Jobカード」が浸透した理由とは……?

羽田空港の若手社員が考案

 「もともとは羽田空港の現場から生まれた取り組みでした」と、ANA's Way推進チームのリーダー、高野弘樹さんは説明する。01年当時、サービスを提供する現場には大きな課題があった。

 「羽田空港の当時の旅客部門スタッフは約600人。規模が大きくなり、若い従業員も増えて、スキルのばらつきが出ていました。目の前の仕事に追われ、他の人の仕事に学ぶ余裕がなかったのです。その結果、サービス品質の課題が浮き彫りになりました」。当時の担当者だった、ANAホールディングス広報・コーポレートブランド推進部の椿里砂さんは振り返る。

 その課題を解決しようと動いたのが、羽田空港に勤務する若手社員だ。CS(顧客満足)向上を目指すプロジェクトを始動させた。その一環として、お互いの仕事の良いところを「見る」きっかけをつくり、褒め合うことで質を高めていく取り組みを考案した。それが「Good Jobカード」だ。

 「それ以前にも、上司が部下を褒めるカードはあったのですが、それだけだと“上から下へ”という目線のみになりがちでした。同僚同士、部下から上司へ、といった矢印を新しくつくって、互いに良いところを伸ばし合う文化にしたい、と考えたのです」(椿さん)

 羽田空港で1年間運用してみると、すぐに効果が表れた。国内拠点を対象とした年間表彰で、約30拠点(当時)のうち下位だった羽田空港がトップ10に入ったのだ。それをきっかけに、03年には社長直轄の「CS推進室」が事務局となり、Good Jobカードの取り組みを全国の拠点に広げた。

photophoto 「Good Jobカード」のイラスト面(左)と記入面
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