JR東日本が歩んだ「鉄道復権の30年」 次なる変革の“武器”とは?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)

» 2018年07月06日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 「鉄道の再生・復権は達成した。次の10年は生活の豊かさを起点とし、交流の起点となる駅などを生かしたサービスを創造して新たな価値を提供する」

 JR東日本は7月3日、中期経営ビジョンに当たる「変革2027」を発表した。首都圏の輸送を担い、東北の路線網を維持してきた鉄道会社を、海外進出を視野に入れた生活サービス事業へと変革する。もちろん鉄道の重要性は追求する。「変革」には鉄道事業も含まれる。鉄道事業はいままで「お客さまを安全に目的地へお届けする」という責任を最重点項目としてきた。これからは責任に加えて、輸送の質も追求していく。

photo JR東日本の「変革」とは?

 その意気込みがWebサイトに公開された資料から読み取れる。輸送の質を高めていく。そこで得られた技術と経験が、お客さまの生活向上にも役立っていく。理想的な生活産業の在り方を目指す。

 「変革2027」の基本方針に驚かされつつも納得する。鉄道を起点としたビジネスから、ヒトを起点としたサービスに転換すると書かれているからだ。「もう鉄道は主力ではない。関連事業に主軸を移す」とも読み取れる。しかし、冷静に考えればこれは民間企業としては正しい考え方だ。大手私鉄は鉄道事業の比率が低い。不動産、流通などを沿線で多角的に展開し、観光については沿線外の地域まで対象としてきた。JR東日本も、ようやく大手私鉄のようなビジネスモデルのスタートラインに立った。

 ただし、駆け出す足はすでに鍛えられている。Suicaが大きな筋肉となった。決済ビジネスだけではなく、ビッグデータを活用して客の行動を分析し、適材適所のサービスを提供する。JR東日本の新たな展開の鍵を握るアイテムはSuicaだ。逆に言えば、この発明なしにJR東日本の飛躍はなかったかもしれない。

photo 「変革2027」の基本方針。鉄道事業から生活産業へ(出典:JR東日本 投資家・アナリスト向け説明会資料
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