1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
20代の知人に、うっかり「国鉄を知らない世代だね」とメッセージを送ったら、「くにてつって何ですか」と返ってきた。笑ってはいけない。知らなくて当たり前だ。国鉄は30年前に終わっている。20代の人々が生まれる前の話だ。
国鉄、日本国有鉄道が分割民営化され、JRグループが発足した1987年に生まれた人は、2017年現在は30歳だ。社会人になってそろそろ10年。仕事に慣れ、職務に応じて責任を持つ立場になっている。この人たちより年下の人々は国鉄を知らない。
当時、子どもだった人も国鉄を認識していなかっただろう。当時10歳前後、現在の40歳前後の人が国鉄を知らなくても恥ずかしくはない。私は今年50歳になるけれど、正直に告白すると、30年前の20歳当時、国鉄分割民営化の詳しい内容は知らなかった。国鉄からJRへの変化を乗客の目線で感じただけだ。だから今回は、国鉄を知らない人へ、国鉄分割民営化をよく知らなかった私が、おさらいを兼ねて説明してみる。
ざっくり説明すると、日本の鉄道は国が管轄する国鉄と、民間企業が経営する私鉄、そして自治体が運営する公営交通があった。このうち、国鉄は赤字経営がこじれて、25兆円を超える巨額の累積債務を抱えてしまった。そこで国鉄を精算し、民間会社として再出発させた。これが国鉄の民営化だ。
国鉄を民営化するとき、全国一体の会社ではなく、地域ごとの旅客鉄道会社を作った。ただし、長距離で貨物列車を運行する会社は全国一体で残した。また「みどりの窓口」の指定席券システムなどコンピュータ管理を担当する会社も独立させた。新幹線やリニアをはじめ、鉄道の技術研究を担う部門も公益財団法人として独立した。この分割化と民営化を合わせて「国鉄の分割民営化」という。
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