国鉄の赤字問題が深刻となってきたため、1969年に日本国有鉄道財政再建特別措置法が成立した。経営の合理化、赤字ローカル線の廃止、新路線建設の凍結、国鉄用地に対して地元自治体に支払う市町村納付金(固定資産税)の減額などを決めた。
それでも政府と国会は運賃値上げを認めず、新路線の建設は続行した。新路線の建設は国鉄自身ではできないため、鉄道建設公団を作って政府が建設し、国鉄に無償譲渡した。国鉄にとって建設費負担はなかったため、今までよりはマシだ。しかし、結果として赤字路線が増えたため経営をさらに圧迫した。
1976年、ようやく国が運賃値上げを認めた。ただし、今までの赤字を取り返すため、同年の値上げ率は50%と急上昇となった。1977年にも50%の値上げ。そして、1978年から毎年の運賃値上げが始まる。この極端な値上げ策と、1975年の8日間にわたるストライキで深刻化した労働組合問題、その後の職員のモラル低下は、長距離旅客と貨物荷主の国鉄離れを招いた。
それでも、値上げと合理化の効果はあった。国鉄最終年度の1986年度は、一般営業利益と幹線の利益で黒字となった。しかし、貨物の赤字、利子の支払いで全体的には1兆8478億円の赤字となった。国鉄の累積債務は25兆円を超えていた。途方もない金額であり、債務解消と赤字体質の改善が疑問視された。
国鉄は本当に債務を返済できるか。当時の大蔵省(現・財務省)は、財政投融資からの貸し付けを渋り始めた。政府保証鉄道債券も引受先が危ぶまれた。国鉄にとって、赤字だったら財政投融資から借りよう、という技が、もう使えないかもしれない。
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