ホテル事業の経験がなかったのに、「TRUNK(HOTEL)」好調の秘密水曜インタビュー劇場(稼働率91%公演)(1/6 ページ)

» 2018年07月18日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 渋谷駅から徒歩10分くらいのところに、旅好きの人の間で話題になっているホテルがある。原宿方面に向かう明治通りから一歩入ったところにあるので、決して便利とは言えない立地であるにもかかわらず、絶好調なのである。

 そのホテル名は「TRUNK(HOTEL)」。ウェディング事業などを手掛けるテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)が2017年5月にオープンしたところ、「オレも泊まりたい」「ワタシも泊まりたい」という声が殺到し、稼働率は80%台後半で推移し、18年4月には91%に達した。

2017年5月にオープンした「TRUNK(HOTEL)」

 驚くのはそれだけではない。客室は15室しかないにもかかわらず、平均客室単価は5万6919円。この金額を耳にすると「えっ、オレなんて出張のときには8000円くらいのホテルに泊まっているよ。信じられない」と思われたサラリーマンも多いかもしれないが、記者はちょっと違う見方をしている。

 1泊5〜6万円も出すのであれば、御三家(帝国、オークラ、ニューオータニ)と呼ばれているところや、新外資御三家(ザ・リッツ・カールトン、ザ・ペニンシュラ、マンダリンオリエンタル)と呼ばれるところに泊まれるのに、なぜ知名度が低いこのホテルを選ぶのか(失礼)。どういった人たちが泊まって、どのような楽しみ方をしているのかが気になるのである。

「TRUNK(HOTEL)」のロビーにバーが併設されている

 もうひとつ疑問がある。T&Gはホテル事業を手掛けたことがないのに、開業1年でなぜ結果を残すことができたのか。取材当日、1階のラウンジに足を踏み入れたところ、たくさんの人が溢れかえっていた。コーヒーを手にして会話を楽しんでいたり、机の上にPCを置いて作業をしていたり、本を読んでいたり。客室がわずか15室しかないホテルとは思えないほど活気があって、独特の世界観が漂っていたのだ。

 その秘密を探るために、TRUNK(HOTEL)の運営に携わっている古賀久夫さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

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