ソーシャルレンディングの不正問題に出資者はどう対峙すべきか?“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)

» 2018年07月20日 06時30分 公開
[加谷珪一ITmedia]

資金を流用した会社には処分は及ばない

 しかし、資金を受け取ったグリーン社の親会社は、貸し付けられた資金を区分管理することなく、1つの口座で入出金していた。これに加えて、出資者に対して説明していたものとは異なる事業に資金を拠出したことも明らかとなっている。証券取引等監視委員会による検査の結果、maneoに対して処分の勧告を行うことになったのだが、ここで重要なのは処分の対象はあくまでmaneoという点である。

 maneoはソーシャルレンディング企業であり、融資を行うファンドの勧誘を行っているに過ぎない。貸し付けられた資金を実際に流用したのは、融資を受けたグリーン社の親会社だが、この企業に対して金融庁は監督権限を持っているわけではなく、具体的なアクションは起こせない。

 勧告の内容についても、虚偽記載と管理上の問題点の2つに限定されている。

 maneo側は、グリーン社が資金を適切に管理している前提で融資を進めていたが、実際はそうではなかった。結果的にmaneoは投資家に対して虚偽の説明を行っていたことになり、これが処分の対象となった。

グリーンインフラレンディング(出典:同社サイト) グリーンインフラレンディング(出典:同社サイト)

 今回のスキームの場合、資金を借りるのはグリーン社だが、実際に事業を行っているのはその親会社であり、maneo側はグリーン社を通じてしか、状況をチェックしていなかった。

 このあたりについては管理体制の不備を指摘されてもやむを得ないだろうが、実際に資金を流用していた企業に対してどのように対応するのかは、結局のところmaneo次第ということになる。ここで虚偽記載や管理上の不備についてmaneoを処分しても本質的解決にはつながらない可能性が高い。

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