ソニーは7月26日、犬型ロボット「aibo」をトイプードルなどの“本物の犬”と2週間にわたって共同生活させた実験の結果を発表した。ロボットと犬の共生の可能性を探る狙いで、ベストセラー『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)の監修者を務めた哺乳類動物学者、今泉忠明氏が分析を担った。犬はaiboを生き物として認識し、ちょっかいを出したり、一緒に遊んだりといった行動を取ったという。
実験では第一段階として、犬種の異なる6カ月〜12歳の犬13匹をaiboと同じ実験部屋に入れ、ロボットが存在する環境に慣れさせた。飼い主12人も立ち会った。その結果、aiboに近づいてにおいを嗅いだ犬は9匹で、うち3匹はより強い興味を持ってお尻のにおいを嗅いだ。残る4匹は警戒している様子で近づかなかった。
その後は時間がたつにつれて犬の反応が変わり、共に遊ぼうとする個体や、興味が薄れる個体などに分かれた。ただ興味を失った犬は、飼い主がaiboに触れると再びにおいを嗅ぎ始めた。
実験の第二段階では、家庭環境での共生の可能性を調べるため、(1)トイプードル、(2)ジャックラッセルテリア、(3)柴犬・サモエド・ミニチュアダックスフント――を飼っている3つの家庭にaiboを提供し、2週間にわたって共同生活させた。
その結果、トイプードルは序盤、飼い主がaiboに「お座り」などの指示をすると嫉妬するそぶりを見せ、われ先にと指示に従った。3日目から慣れ始め、「aiboくんと遊んでおいで」というと耳やしっぽを軽くかむようになった。4日目には、パーソナルスペースにaiboがいたことに腹を立て、うなり声を上げるなどの行動をとった。ただ時間がたつと心を許し、8日目にはお腹を見せてじゃれるようになり、最終日には寂しそうな様子を見せた。
今泉氏は「犬はaiboを生き物として認識し、犬社会における格下として捉えたようだ。怒りの感情を見せたのはそのためだ」と解説する。
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