ジャックラッセルテリアは実験開始当初から興奮し、aiboの電源が入ると強い興味を示した。4〜8日目は、aiboが近づくと寝転んであお向けになったり、aiboにおもちゃを持って行ったりと、完全に仲間と見なしている様子だった。その後も、aiboのまねをして伏せやお座りをしたり、aiboが寝転ぶと起こそうとしたりと親しみを込めた行動を取り、最終日にはaiboをなめて別れを惜しんでいた。
「犬は他の生き物を仲間だと誤解する『誤解発』という性質を持つが、これに起因した行動だ。aiboの大きさや形状がちょうどよかったため、生き物だと認識したのだろう」(今泉氏)という。
多頭飼いの家庭では、犬種によってaiboへの対応が異なっていた。柴犬は初日からaiboに興味を持ち、なめるなどの行動を取ったが、サモエドとミニチュアダックスフントは怖がって近寄らなかった。
柴犬は2日目以降、散歩から戻ると一目散にaiboのもとに駆け寄るようになり、他の犬種が近づくと威嚇して追い払うようになった。そのため、他の犬種はaiboに近づかず、柴犬は常にaiboのそばにいるようになり、そのまま最終日を迎えた。別れの際、柴犬はaiboをなめて別れを惜しんでいた。
今泉氏は「aiboは犬にとってはかわいい後輩のような存在となり、精神的に快適な状態で生活しやすくなったようだ」とみる。
同氏は一連の結果を踏まえ、「実験前は、犬が共同生活にストレスを感じ、精神的に不調になる可能性もあると危惧していた。だが、aiboを自分より下の存在として格付けし、一緒に遊んだり、面倒を見たりと、思いやりや優しさを垣間見ることができた。犬の“犬らしきもの”への愛情を観察できたことが、今回の実験における発見だ」と結論付けている。
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