会社の数字〜注目企業を徹底分析〜

ドンキはなぜここまで成長できたのか、そして何を目指しているのかビジネスモデルを徹底検証(1/4 ページ)

» 2018年07月31日 06時00分 公開
[坂口孝則ITmedia]

数字で読み解く「もうけの仕組み」:

 「あんなに暇そうなのに、どうしてあのお店はつぶれないのか」「こんなに安い価格で本当にやっていけるのか」――世の中には知っているようで知らない「もうけの仕組み」がたくさんある。身近な企業を例に利益構造を学び、ビジネスとお金のセンスを磨いていこう。

連載第1回:家電以外の商品を売り始めた家電量販店を悩ます「リベートの減少」

連載第2回:ドンキはなぜここまで成長できたのか、そして何を目指しているのか

連載第3回:いつも暇そうに新聞を読んでいる不動産屋はなぜベンツに乗っているのか

連載第4回:家賃が200万円もするのにスタバがもうかる理由

連載第5回:値上げをしたのに客数が増えた焼き肉店の謎

連載第6回:ワタミを救った「鶏肉」に外食チェーンが熱視線を送るワケ


 ドン・キホーテの快進撃が止まらない。ドンキホーテホールディングスは2018年5月に行った第3四半期決算説明会で、18年6月期の連結売上高は9350億円となり、29期連続の増収増益を達成する見込みだと発表した。

 同社の勢いは提携企業の拡大にも表れている。ファミリーマートはドンキ流のノウハウを注入した店舗を開いている。コンビニは食品の売り上げのほうが大きいが、ドンキの強みである日用雑貨による訴求力を加え、若年層を呼び込む目算だ。

 対象店舗では、多くをドンキから調達した商品に替える徹底ぶりだ。ドンキに特有な高い棚に、所狭しと商品を並べる。ドンキはかつてコンビニを独自展開しようとしたが、今回は大手と組んだ。

photo ナイトマーケットの“総本山”であるドン・キホーテ新宿歌舞伎町店

スーパーも「ドンキ化」

 “ドンキ頼み”なのはコンビニだけではない。ユニーはスーパーの「アピタ」などをドンキ流で改革した。東海地方を中心とした店舗を刷新し、「MEGAドン・キホーテ UNY」と名付けた。実際にMEGAドンキ化した店舗は好調だ。改装にコストがかかるといっても、新店舗よりは抑えられる。食品の利ざやは少ないものの、非食品のカテゴリーで稼ぎ、その利益を食品開発に費やせば、商品の魅力を向上させられる。

 店舗によっては、地下を食料品売り場に、そして地上階を雑貨類の売り場とし、営業時間も延ばした。食料品を買う場所から、日用品も買う場所へ。そして、遊びに行く場所へ。まるでそれは、コト消費を志向している現代小売業に対する一つの回答のように映る。

photo MEGAドン・キホーテUNY大口店の外観
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