ここ数年、日本から香港への渡航者が増えていることをご存じだろうか。2016年は109万人(対前年比4.1%増)に対し、翌17年は123万人(同12.3%)と大幅に伸びているのだ。昨年、海外に渡航した日本人を見ると、対前年比で4.5%増だったことを考えると、香港に足を運んだ人が多かったことがうかがえる。この勢いは今年に入っても衰えず、18年5月時点で対前年比5.3%増のペースで伸びているのだ。
直近のデータを見ても、“香港熱”は冷めていない。JTBが発表した「2018年夏休みの旅行動向」によると、行き先としてアジア地域の人気が目立つなかで、特に香港が著しく伸びているのだ。アジア方面が前年比で5.5%増のなかで、香港は10%前後増える見込みだという。
冒頭から数字をたくさん並べてしまったが、なぜここ数年、日本人は香港に行っているのか。その謎を探るために、香港政府観光局の堀和典局長に話を聞いた。
「香港から日本に来る人が増えたこともあって、数年前から飛行機の座席数が増加傾向にある。香港からの座席数が増えるということは、日本から香港行きの座席も増えることになる。結果、航空券が安くなる傾向があって、日本から香港に行く人が増えた」という。ただ、ここでひとつ疑問が残る。飛行機の座席数が増える前……つまり、少なかったころはどのような状況だったのか。
「2013年、尖閣諸島の問題を受けて、日本から香港へ行く人が減少した。ただ、2年後の15年に香港からの訪日客が急増する。たくさんやって来るということは、たくさん帰っていくという状況になるので、航空券を買いたくてもなかなか手が出せない価格になった。こうした背景があって、香港に行く日本人が減少していた」(堀氏)と振り返る。
日本から香港への渡航者が増えている要因として、堀氏は座席数の増加のほかに、もうひとつの理由を挙げている。飛行機の路線数だ。以前、香港への直行便は、東京、大阪、名古屋といった大都市の空港が中心だったが、現在は地方都市からでも行くことができる。「鳥取、高松、岡山などの空港から直行便が出ていて、香港へのアクセスがよくなったことも大きい」(堀氏)と分析している。
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