10年間宣伝ゼロのマーガリン 売り上げが突如6倍になった真の理由メーカーも「なぜ売れた」と困惑(4/4 ページ)

» 2018年09月14日 07時00分 公開
[服部良祐ITmedia]
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SNSでまだ無名、でも「話題になり得る」商品たち

 「SNS上で話題になるきっかけとしては、メディアの記事も一般人の投稿もさほど本質的な違いはない」(担当者)。たらこスプレッドも、もともとネット上ではマリンフードのWebサイトくらいにしか情報がなく、営業担当が他のシリーズ商品と一緒に小売りに売り込む程度の施策しか打ってこなかった。

 たらこスプレッドが生まれた08年には「インスタ映え」という概念は存在せず、Twitterも日本で今ほどの存在感は無かった。まさかの10年越しのヒットにマリンフード専務の吉村さんは「ネットの口コミやSNSの影響力が想像以上に大きくなっていると実感する」と話す。

photo たらこスプレッドの開発を主導した川村敏美さん

 意図せぬSNSでの流行をきっかけに、開発者たちのこだわりが10年後に消費者に届いたたらこスプレッド。「同じようにSNSの世界ではまだ『眠ったまま』で世に出ていない商品はまだあるはず」(ワイズワークスプロジェクトの担当者)。多くのメーカーや小売りが商品を「話題にしようとわざと」SNSでマーケティング施策を凝らす中、商品の魅力がひとたび消費者に知られると勝手にヒットしてしまった今回のケースは、濃厚な味わいの教訓を残したと言えそうだ。

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