ただ、このシンガポールの思惑には、懸念が出ている。FacebookやApple、楽天、LINEなども加盟しているネット関連企業の業界団体であるアジア・インターネット連盟は、法規制ではなく、業界の自主規制を推進すべきだと指摘した。法規制すれば、こうした企業が提供するサービスが制限されてしまう可能性があるからだ。
筆者はかつてシンガポールで暮らしていたが、そもそもシンガポールでは、表現の自由や結社の自由などは制限されている。政府の司法システムに批判的な本を書いた欧米人ジャーナリストが投獄されたケースや、オーストラリアでシンガポールを糾弾するようなブログを書いていた日系オーストラリア人女性が、15年にシンガポール入国と同時に「治安妨害罪」で逮捕され、10カ月の禁固刑になったケースもあった。シンガポールの「建国の父」で、現首相の父親でもあるリー・クワンユー元首相が死去した際に「リー・クワンユーはおぞましい人物だった」と発言する動画をアップした16歳の少年が逮捕されて大騒動になったこともある。
そんな強権的な国家として知られているシンガポールが、フェイクニュース対策で法規制を強化することで、これまで以上に容易に言論を弾圧しかねないと心配の声が上がっている。
ただ、こうした動きを見せているのはシンガポールだけではない。
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