世界で20億人以上のユーザーを誇るFacebookが大きな騒動を引き起こしている。
2016年の米大統領選でドナルド・トランプ陣営のデジタル戦略を担ったケンブリッジ・アナリティカという英国のデータ分析会社が、Facebook上で使われる心理テストのアプリの回答者やその友人たちから、個人情報を不正に収集した。被害に遭ったユーザー数が最大8700万人に上った可能性があり、その情報がケンブリッジ・アナリティカに流れ、大統領選で使われたと指摘されている。
被害者はほとんどが米国人だとされる。ただ今回はたまたま米国人の情報を集めただけであって、この問題で浮き彫りになった実態は、日本人の情報を取ろうと思えば、同じようにクイズのアプリを作ったりして取れてしまうということだろう。事実、誰かにすでに取られてしまっている可能性だってある。
このニュースを聞いて、「驚いた」という人がいったいどれほどいたのだろうか。というのも、Facebookなどが登録者の個人情報を所有するということは、こうしたサービスが普及し始めてから、欧米ではすぐに話題になったからだ。そもそも、Facebookなどが個人情報を吸い上げてビジネスをしているという実態はもはや常識だと言っていいのに、「何をいまさら」という感が強い。
今回のFacebookの問題は、背景に、トランプ大統領とロシアの関係が疑われている「ロシア疑惑」と、ロシア情報機関に関連する組織がFacebookやTwitterを使い、米大統領選でトランプが有利になるようにフェイクニュースなどをばらまいたという一連の騒動がある。またテストのアプリの作成にはロシア系米国人が関与している。だからこそ大騒ぎになっているのであって、個人情報が使われていること、プライバシーが搾取されていることについて、個人的に意外性は感じない。
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