欧米メディアも報道できない、伊調馨「パワハラ問題」の真実世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2018年03月22日 07時30分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 伊調馨氏に対するパワハラ騒動が収まらない。

 事の発端は、週刊文春の記事(2018年3月8日号)だった。記事は、伊調氏が、恩師である日本レスリング協会の栄和人強化本部長から「陰湿パワハラ」を受けていると告発するものだった。その後、この騒動はテレビなどでも大きく取り上げられ、各週刊誌も独自情報を次々と出す展開になった。

 問題の構図は、伊調氏を中心にして、内閣府に日本レスリング協会や栄氏を糾弾する告発文を提出した側と、栄氏をはじめとする日本レスリング協会などのレスリング関係者との対立になっている。直近では、伊調選手の母校であり、栄氏がレスリング部の監督を務める至学館大学の谷岡郁子学長が記者会見を開き、彼女の辛辣(しんらつ)な物言いが話題になった。

 オリンピックのレスリングで4連覇を果たしている世界的な選手である伊調氏のスキャンダルだけに、海外でもさぞ話題になっているのだろうと調べてみると、実はほとんど海外メディアはこの件を報じていないのが分かる。通信社が共同通信などの記事を引用して短く報じているだけだ。

 大々的に報じられないのはどうしてだろうか。1つには、この騒動の本質がよくつかめないからというのもあるだろう。おそらく日本人でも「なんだかよく分からない」という印象の人が多いのではないかと思う。また別の理由として考えられるのは、そもそも「パワハラ」という言葉の意味が海外では分かりにくいということがある。そこで、そんな目線から少しこの騒動について掘り下げてみたい。

photo レスリングのパワハラ騒動は本質がつかみづらい
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