かつての新星、韓国現代自動車はなぜ輝きを失ったかセダン重視、デザイン平凡化……(3/3 ページ)

» 2018年11月14日 17時22分 公開
[ロイター]
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<父の遺産>

事業再興の重荷は創業家3代目のリーダーとなる鄭義宣(チョン・ウィソン)副会長(48)の肩にのしかかることになる、と同社の社員やディーラー、そしてアナリストは指摘する。

今年9月に総括首席副会長に昇進した同氏は、80歳になる父親の鄭夢九(チョン・モング)会長の後継にまた一歩近づいたとみられている。

品質を劇的に向上し、国内外での生産能力を急速に拡大させて現代を世界の主要メーカーの一角に押し上げた立役者とされる鄭会長は、この2年、公の場や重要社内会議に姿を見せていない。。

巨大な財閥とその中央化された意思決定を一手に握る同会長の下で、現代自動車は他社との提携を避け、鉄鋼からエンジンやトランスミッションなどの重要部品に至るまで、すべてをグループ内でまかなってきた。

一方で、研究開発費用は他社に劣る水準で推移した。現代自動車の昨年の研究開発費は売り上げの2.6%にとどまった。この数字は競合他社であるフォルクスワーゲンの6.7%、トヨタの3.8%、そしてBYDの3.6%と比べて大きく見劣りする。

鄭副会長はこれまでの慣例を破り、スタートアップに投資したり、外部からの人材引き抜きや、自動運転技術を巡る提携にも乗り出している。

現代自動車は昨年、ライドシェアやロボティクス、人工知能(AI)の開発部門を指揮する最高イノベーション責任者(CIO)に、サムソン電子の出身者を起用した。

鄭副会長は、これまでに「つまづき」も経験している。2011年の米デトロイト自動車ショーでは、これまでの「お値打ち品」のイメージ刷新を狙い、新たなブランドビジョン「モダン・プレミアム」を披露、4年後には同社初の高級車ブランド「ジェネシス」を発表した。

しかし、米国では、今年1─10月のジェネシスの販売台数は、前年同期比45%減の9281台と落ち込んでいる

鄭副会長は、インタビューの要請に応じなかった。

現代自動車のブランドイメージは向上しているものの、「まだプレミアムブランドの足元に及ばない」とGMの韓国事業責任者を務めたニック・ライリー氏は指摘する。「そのため、規模を維持するには、価格競争力を追求する考え方に立ち返らなければならないだろう」

(Hyunjoo Jin記者, Ben Klayman記者、Yilei Sun記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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