「らしくない」高級商品がズラリ! イオン「トップバリュ」の若者狙い撃ち戦略(1/5 ページ)

» 2024年04月29日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

 イオンの「トップバリュ」は、安価なプライベートブランド(PB)として消費者に認識されている。ロシアによるウクライナ侵攻後に物価高が加速した際も、しばらくの間は値段を据え置き、消費者の支持を得てきた。

 品質面では大きな特徴がなくシンプルな商品が多いともいえるトップバリュだが、近年はZ世代受けを狙う尖った商品を出し始めている。例えば、カクテルのように楽しめるノンアルコール飲料や、炭水化物を掛け合わせた“ガッツリ系”の冷凍食品などが好例だ。

 従来のシンプルな路線に加え、こうした商品を出し始めた背景に何があるのだろうか。“尖り系商品”の特徴とともに探っていく。

「高級PB」のラインアップを増強しているイオン

ルーツはカップ麺 50周年を迎えるPB

 簡単にトップバリュの歴史について振り返ろう。まず、イオンのPBブランドはかつてのジャスコ時代に始まった。1974年、オイルショックに伴う原材料費の高騰で各メーカーがカップ麺を値上げした際、安さを維持すべく独自ブランドのカップ麺として発売した「ジェーカップ」が最初のPB商品である。

イオンPBの源流「ジェーカップ」(出所:プレスリリース)

 食品のみならず家具などでもPB商品を発売したのち、1994年に「トップバリュー」が誕生した。その後、2000年に「トップバリュ」へと名称を変更し、2014年からは「トップバリュ」「トップバリュ ベストプライス」など、トップバリュ系列で4ブランドを展開している。

 今やイオンの代名詞といえるトップバリュ系ブランドは、食品だけでなく衣類や日用品でも幅広く商品を展開。その多くで低価格を訴求しており、ナショナルブランド(NB)商品よりも質素な印象が強い。

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