「外国人は来るな!」と叫ぶ人たちが、移民政策に沈黙しているワケスピン経済の歩き方(2/7 ページ)

» 2018年11月27日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「移民政策」はスルーの不思議

 なんてことを考えていくと、ひとつだけ、どうしても不思議でしょうがないというか釈然としないことがある。

 それは、いわゆる「ネトウヨ」の皆さんのリアクションだ。

 ご存じのように、愛国的な思想をお持ちの方たちは、何かとつけて、「外国人は日本から出て行け!」と声高に主張される。彼らは有名観光地に外国人観光客が溢れかえることでさえ露骨にイヤな顔をする。伝統や自然を守るためにも、日本は日本人だけが楽しく暮らせばよろしい、という思想なのだ。

 そういう愛国心溢れる方たちからすれば、今回の出入国法改正など、断じて許すことのできない「売国の移民政策」――になるはずなのだが、どういうわけか、そんな風に騒いでいる人たちがそれほどいないのだ。

 一部の市民団体の方たちが反対デモをしたという報道はあったものの、国会前に何万人も集まって、「移民政策を強引に進める売国安倍政権を打倒せよ!」なんてシュプレヒコールをあげた、なんて話も聞こえてこない。

 むしろ、ネットを眺めると、「移民は断じて反対だが、人手不足を解消するには、ある程度の外国人労働者の受け入れは仕方がない」なんことを言っている方も少なくないのだ。

 これには正直、困惑している。

 外国人観光客のマナーの悪さや、韓流スターの原爆ファッションにはあれほど怒りをあらわにするのに、それよりもはるかに日本に打撃を与えるであろう「移民政策」は、なぜかスルーしているのだ。

 この矛盾した考え方を一言で言い表すと以下のようになる。

 「移民は反対だし。外国人観光客も迷惑だからできる限りやって来てほしくないけれど、外国人労働者は人手不足なんだから、しょうがない」

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