「乃が美」創業者が自著で語った高級「生」食パンの「生」の意味1日に5万本売れる(1/3 ページ)

» 2018年11月30日 06時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 高級食パンメーカーの代表的な存在である「乃が美」(大阪市)が11月15日、東京進出を果たした。当日の昼過ぎに「乃が美 麻布十番店」(東京都港区)に記者が行ってみたところ、20人近いお客が並んでいた。お客の8割近くは女性で、40歳以上が多いように見受けられた。

 記者が並んでから購入するまでには15分近くかかったが、その間も行列の人数は20人以上をキープするという繁盛ぶりであった。店内は白を基調とした清潔感のあるデザインとなっており、オープニングリーダーと思われる関西弁の従業員が、標準語を話す従業員にテキパキと指導している姿が印象的だった。

 乃が美の東京進出にあわせるかのように、同社代表の阪上雄司氏は『奇跡のパン 日本中で行列ができる「乃が美」を生んだ「超・逆転思考」』(KADOKAWA刊)を上梓している。今回は、本書の内容をもとに、創業時のエピソードや知られざる戦略について考察してみたい。

photo 麻布十番店の看板

急成長した乃が美

 乃が美は2013年10月、大阪で創業した。主力商品は1本(1斤)432円(税込、以下同)と、1本(2斤)864円の「高級『生』食パン」だ。耳までやわらかくて甘みがあるのが特徴で、またたく間に大ブームとなり、店舗数をこの5年で100店以上に増やした。乃が美の高級「生」食パンは1日に5万本売れているという。

 同社のパン人気を物語るような記述が公式Webサイトにいくつかある。1点目は類似品対策だ。「近ごろ『生』食パンをうたう類似品が多く出回るようになってしまいました」との理由から、『高級「生」食パン』を商標登録している。2点目は、転売への警告だ。メルカリや楽天市場などで高級「生」食パンが販売されており、食中毒防止の観点から購入をやめるように呼び掛けている。記者が11月13日にメルカリで検索したところ、高級「生」食パンが出品されていることが確認できた。3点目は、同商品をアミューズメント施設などで景品として配布することへの注意喚起だ。乃が美が調査したところ、とあるアミューズメント施設で景品として配られていたという。こちらも食中毒防止の観点から景品を受け取らないようお客に呼び掛けている。

photo 『奇跡のパン 日本中で行列ができる「乃が美」を生んだ「超・逆転思考」』(KADOKAWA刊)
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