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» 2018年12月07日 16時11分 公開

働き方改革で注目されるリモートワーク:ブロックチェーンでリモートワーク管理 初期投資を抑えて情報漏えい対策

通常のデータベースの代わりにプライベートブロックチェーンを使うことで、初期コストを抑えたリモートワーク管理システムをナレッジオンデマンドが開発した。翻訳サービスを提供する翻訳センターと実証実験を行った。

[斎藤健二,ITmedia]

 ブロックチェーンを使ってリモートワーカーを管理するシステムを、アイティメディアグループ会社のナレッジオンデマンド(東京都千代田区)が開発した。専門分野に特化した翻訳サービスを提供する翻訳センターと共同で実証実験を行い、外部の翻訳者のPC環境と情報漏えいにつながる操作ログを取得。ブロックチェーンへ記録を行った。

業務上のファイルをUSBメモリなどにコピーしたりメールに添付したりすると、その操作ログが記録され、ブロックチェーンに記録される

 「働き方改革」のひとつとして、オフィスに出社せず自宅などで仕事を行うテレワーカーやフリーランスの活用が注目されている。しかし、こうしたリモートワーカーによる情報漏えいを防ぐことは難しく、発注を見合わせたり契約などで信頼したりするしかないという実情があった。

 情報漏えいへの対策は、操作ログを取得するソフトウェアを使う場合が多いが、「会社の中ならログ管理は導入しやすいが、ほかの仕事も行い個人利用もしている人のPCに仕組みを入れるのは難しい」(ナレッジオンデマンドの宮下知起社長)という課題があった。

 今回のシステムでは、ブロックチェーンの仕組みを利用することで、この解決を目指した。

 まず、ナレッジオンデマンドが開発した常駐アプリケーションをリモートワーカーはインストールする。業務上のファイルは暗号化して送られ、この常駐アプリケーションを使って復号し、業務を行う。復号のタイミングでファイルが監視対象となり、常時操作ログが記録される仕組みだ。発注した仕事に関連したファイルについてのみログを取ることで、不要な情報を取得しないようにしている。

 取得したログはブロックチェーンに記録する。実証実験では、XEMの技術を使ったプライベートチェーン「mijin」と、オープンソースのブロックチェーンプラットフォーム「Hyperledger Fabric」を使った。

ログ操作などの秘匿すべき情報はプライベートチェーンに記録するが、リモートワーカーのセキュリティ環境情報などはパブリックチェーンに記録して公開することも想定する
ブロックチェーンに記録するログのイメージ(実証実験で使った管理画面)

 ログの記録は一般的なデータベースでも可能だが、「通常のデータベースを使う場合、全部のシステムをゼロから作らなければならない。今回のブロックチェーンの活用では、提供されたツールでスピーディに開発が行えた」(ナレッジオンデマンド)という。さらに、「システムを構築する際に、ブロックチェーンのほうが初期投資が小さく立ち上げが早い」(宮下氏)というメリットがある。

 操作ログの記録などは、導入した企業内でのみ閲覧できるプライベートプロックチェーンを使う。一方で、リモートワーカーのアンチウイルス対策状況などの情報は、一般に公開されるパブリックブロックチェーンにも記録することができる。PCの環境などを一般公開することで、質の良いテレワーカーのリストを公開することも可能になる。

 同社は、現在、実証実験の結果を踏まえ製品化に向けて動いている。実証実験では操作ログの取得は市販ソフトを使ったが、これを常駐ソフトに組み込むほか、パケットキャプチャリング機能も盛り込み、操作ログの把握を強化する。

 今後、リモートワーカーの管理以外にもさまざまな用途を想定する。「例えば、製造業において、データを取り扱うためにサプライヤに常駐してほしいと言われることがある。工場が山の中にあって、引っ越しまで必要になる。この仕組を使えば、東京にいてもCADのデータを適切に使っていることが分かるようになる」(宮下氏)

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