幹部逮捕に揺れる中国ファーウェイ、何が問題なのかセキュリティー問題との関係は(1/3 ページ)

» 2018年12月13日 07時00分 公開
[ロイター]
photo 12月6日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟CFOがカナダで逮捕されたことで、世界のビジネス界に6日、激震が走った。上海で撮影(2018年 ロイター/Aly Song)

Jonathan Weber

[6日 ロイター] - 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟(メン・ワンツォウ)・最高財務責任者(CFO)がカナダで今月逮捕されたことで、世界のビジネス界に激震が走った。

孟氏は、ファーウェイの創業者、任正非(レン・ツェンフェイ)・最高経営責任者(CEO)の娘でもある。米中貿易戦争の「一時休戦」が早くも終わりを迎えるのではないかとの懸念が高まっている。

孟氏は、米当局の要請で、米国の貿易制裁違反の捜査に関連して逮捕されたと、事情筋はロイターに明かした。中国外務省によると、米国とカナダはともに逮捕理由を明らかにしていない。

ファーウェイとはどのような会社か

ファーウェイは、世界最大の通信ネットワーク機器サプライヤーであり、第2位のスマートフォンメーカーでもある。昨年の売上高は約920億ドル(約10兆円)。他の中国テクノロジー大手と異なり、主要市場は海外で、欧州やアジア、アフリカの多くの国々で市場最大手になっている。

ファーウェイは、1987年に人民解放軍出身の任正非氏が創業した。今も非上場であり、株式は社員が保有していると説明しているが、その構造は明らかになっていない。本社は中国南部の技術ハブ都市である深センにあり、約18万人を雇用している。

ファーウェイはどうやってこれほどの成功を収めたのか

ファーウェイは、中国が通信網の近代化に多額の予算をつぎ込み、多くの機材を輸入に頼っていた時期に、数少ない電気通信機器サプライヤーのパイオニアだった。ファーウェイは1990年代に海外市場に進出し、ライバルを大幅に下回る価格設定で知られるようになった。

競合他社は、ファーウェイは模倣製品の格安販売業者と位置づけ、ネットワーク機器大手シスコシステムズやモトローラなどの企業が企業秘密を盗まれたとして訴訟を起こした。

だがファーウェイは研究開発に多額の資金をつぎ込み、今では通信ネットワーク技術や高級スマホの分野で世界の最先端とみなされるようになっている。対照的に、フィンランドの通信機器大手ノキアやスウェーデンの通信機器大手エリクソンなど西側のライバルは近年、業績不振に苦しんでいる。

ファーウェイは今日では、半導体開発や人工知能(AI)、クラウドコンピューティングなどの新分野にも進出している。

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