店舗全体を見て回った正直な印象としては、酒類販売で先行するビックカメラのほうが品ぞろえが充実しているように感じた。例えば、「ビックカメラ 赤坂見附駅店」(東京都港区)の1階には酒類専門売り場があり、品ぞろえが豊富なのはもちろん、人気の日本酒「獺祭」のレアなシリーズも取り扱っている。売り場を運営するビック酒販は、18年7月末時点でビックカメラグループの店内に36店舗を構えており、酒類の取り扱い総アイテム数は約2万を誇る。酒類販売のノウハウではビックカメラに一日の長がある。ヨドバシの広報担当者にこの意見をぶつけると、「お客さまの声を聞きながら、今後、アイテム数を増やしていきます」と回答した。
ビックカメラは約10年前から、雑貨や日用品と家電を組み合わせて販売する多角化戦略を展開している。酒類を扱う「ビック酒販」や医薬品を扱う「ビックドラッグ」といった独立した部署をつくり、専門知識を持った店員を育成している。これは、来店頻度が高くなる日用品を扱うことで、お客に家電をついで買いしてもらう狙いがある。また、18年8月には商業施設「アクアシティお台場」(東京都港区)内に酒類専門店「ビックカメラリカー アクアシティお台場店」をオープンさせるなど、酒類販売に力を入れている。
ビックカメラとヨドバシは都市部の駅前に店舗を構えるという点でビジネスモデルが似ている。ヨドバシは今後、別の店舗でも酒類の取り扱いを始める予定なので、「お酒を買うついでに家電もみてみようかな」というお客の奪い合いが激化するとみられる。また、急成長を続けるヨドバシ・ドット・コムのラインアップに酒類が加わることで、他のECサイトにとってより手ごわい存在になる可能性がある。
ヨドバシは今後、どのように酒類販売を強化していくのだろうか。
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