この動きを見ていて思い出すのが、中国通信機器大手である中興通訊(ZTE)に起きたケースだ。米政府は18年、ZTEを米国内で活動禁止にしてから、禁止解除の条件としてかなりの妥協を引き出した経緯がある。
現在のファーウェイ問題の顛末(てんまつ)がどうなるのかを予測する際には、このケースがヒントとなりそうだ。
17年、米政府はZTEが対イラン・北朝鮮制裁に違反して米国製品を輸出し、米政府に対しても虚偽説明をしたとして米国市場から7年間締め出す制裁措置を発表した。
これにより、スマホを製造する際の半導体といった基幹部品などを米企業に依存していたZTEは、事実上ビジネスを続けられなくなった。だが、当時話を聞いた米政府関係者はこう語っていた。「結局、ZTEは習近平国家主席に泣きつき、その後、習近平はトランプ大統領にこの措置を緩めるようお願いをした。そこでトランプは、非常に厳しい条件を提示して、制裁を解除したのです。まさにトランプによる『ディール』ですね。これはトランプの手腕としてもっと評価されてもいい」
米政府は習国家主席の要請に応じ、ZTEへの制裁措置を10年間先延ばしにすることにした。その条件として、ZTEは10億ドルの罰金を支払い、エスクロー口座(第三者預託口座)に4億ドルを預託、さらには、米商務省が指名した監視チームを10年にわたって受け入れることにも合意させられている。
今回のファーウェイへの強硬措置もこの流れがある。
つまり、ファーウェイはこれと同レベルまたはそれ以上の妥協をしない限り、今後米企業とビジネスを続けることはできなくなるのではないだろうか。また、中国政府が製造業で世界的な覇権を手にすべく15年に発表した「中国製造2025」の実現のために重要な企業の一つとして、ファーウェイを位置付けてきた中国も、おそらく現在関税合戦で全面衝突の様相にある米中貿易交渉で妥協を強いられることになるだろう。
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