中国の大手飲料水メーカーのノンフー・スプリングは、ニュージーランド北東部で、ペットボトルに水を詰める工場を建設しようとして、地元の反発を受けている。紆余曲折の末に、17年にはいったん工場建設のゴーサインが出たが、地元団体などが訴えを起こしたことで裁判が行われており、今後の行方は不透明な状態にある。
またニュージーランド南島の都市クライストチャーチでも同じようなケースが起きている。このケースでは、中国企業のクラウド・オーシャンが水そのものにカネを払っていないことで地元が激怒。さらに環境汚染も指摘されており、19年はじめに近隣の水路から汚染水やプラスチック片などが見つかったことで同社は罰金の支払いを命じられている。こうした問題から、3月には中国企業に反対する抗議デモが行われて、「私たちの水を守ろう」というカードボードを掲げる人もいた。
クライストチャーチの地元民は、水源を守るべく、夏場などは水の使用量をセーブして暮らしている。それにもかかわらず、クラウド・オーシャンは季節も関係なく水を無料でくみ上げているのである。しかも、中国国内ではクライストチャーチの水を安価な値段設定で販売しており、その事実がニュージーランドで報じられるなどして地元民を刺激している。今後もまだ騒動は続きそうだ。
これらのケースでは、当初、政府が中国企業を誘致しようと推進していた経緯があり、問題を複雑にしている。最近になって、国はこの「推進」の計画を転換しているが、国の判断が絡んでいたことで裁判にもなり、メーカーと地元民、さらには市民団体が衝突している。
実は、こうした中国企業が絡む飲料水関連の騒動は他の国でも起きている。ロシア南東部のバイカル湖からの水をペットボトル飲料水にして中国へ輸出するため、19年1月、湖の近くに工場を建設しようとしたケースが大きな話題になった。このニュースが知れると、ロシア国内で大きな騒動になり、署名活動サイトで110万人が反対の申し立てに署名した。それもそのはず、バイカル湖は世界遺産でもあるからだ。結局、3月にはロシアの裁判所がこの工場建設を違法であると判断し、工事は終了することになった。
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