その後もいろいろ試したものの、一般的な「上下2枚構造で開発しよう」という結論に。しかし、パンを折り畳むところで、困難が待ち受ける。畳んだ際に、パンがちぎれたり、具がこぼれ落ちたり。この問題をなかなか解決できなかったので、「食パンを半分に切って、挟んでみるのはどうか」といった意見も出てきた。
しかし、その案は却下。2枚焼きホットサンドメーカーは、1枚ずつ挟んで焼く。同じように1枚のパンを半分に切って、具を挟んで焼けばそれなりのモノはできるだろう。しかし、である。「それだと、開発する意味がない」(小川さん)ということで、次の案を考えることにした。
ありそうでなかったモノを開発するのは、簡単そうで難しい。「ああでもない、こうでもない」とさまざまなアイデアが浮かんでは消えていくなかで、ある意見に耳を傾ける。「ロールケーキの生地のように、パンを丸めてみるのはどうだろうか」と。開発メンバーからも「それは、おもしろそう」という声が出て、早速つくってみることに。
丸めるためには、焼き型の深さをどうすればいいのかという問題があった。深すぎるとうまく焼けなかったり、浅すぎると中身がこぼれてしまったり。深さを0.1ミリ単位で調整していき、何度も何度も折り畳んで、食パンがちぎれにくくうまく焼ける構造を見いだしたのだ。
残る問題は、フタを閉めたときに中身がこぼれること。「フツーにフタをパタンと閉じれば、具はこぼれずにうまく焼けるのでは」と思われたかもしれない。大阪名物「イカ焼き」のように、鉄板の上にイカと生地を流し込んで、上からプレスするアノ構造である。イカ焼きの場合、この方法でうまく焼くことができるが、ホットサンドメーカーになると、話が違ってくる。ロールケーキのように丸めているので、チカラを加え過ぎるとパンはちぎれてしまい、弱すぎるとパンが元の形に戻ろうとする。
ちょうどいい塩梅を見つけるのは難しく、開発チームはチカラ加減ではなく、形状に着目する。「波型」だ。たがい違いに重なる波型によって、閉じ口がストッパーの役割に。パンのフチを波型に焼くことができるので、具をしっかり閉じ込めることに成功したのだ。
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