早期黒字化も視野に 横浜DeNAベイスターズ、スタジアム買収でどうなる?:池田球団社長が語る(2/4 ページ)
今年1月末、悲願だった横浜スタジアムの運営権を手に入れた横浜DeNAベイスターズ。具体化してから急ピッチで進められたTOB成立までの経緯、これからのビジョンなどを池田社長が語った。
2カ月でTOBが成立した要因とは?
今回のスタジアム買収はどのように進行していったのか。上述したように、当初から経営の一体化を目指していたが、まずはステークホルダーの信任を得ることに時間を費やしたという。
「社長就任時から球団と球場で2社に分かれている状況を変革する必要性は感じていた。しかし3年目まではやりたくてもできなかったと思う。徐々にファンが増えて、横浜の街が活性化していく中で、球団の経営に対して、経済界の方を含めて信任を得たことで、後押しされる形でTOBに踏み切った」(池田社長)
ただし、池田社長によると、シーズンが始まったばかりの2015年4月にもまだ具体的な計画はなかったという。潮目が変わったのが夏のこと。7月14日に球団史上最速となる42試合目で観客動員数が100万人を突破し、この年に動員数が横浜スタジアムの収容数ギリギリを迎えることが分かったので(最終的に2015年の一試合平均観客動員数は2万5546人。横浜スタジアムは約2万9000席なので、稼働率は9割を超えた)、TOBの実施に経営の舵を切った。
それと前後して、横浜の財界関係者などからも「一体経営に乗り出したらどうだ」とアドバイスを受けるようになり、それが一気にスピード感を強めたという。
シーズン終了後、池田社長はすぐに横浜スタジアムの経営陣を訪問。友好的な対応の承諾を取り付けたことで、デューデリジェンス(事前に投資対象の財政状況や法務のリスクマネジメント状況などを精査する作業)し、11月20日に公開買付けの開始を対外的に発表した。
そこからわずか2カ月間でTOBを成立させた。その成功の要因について池田社長は「プロセス管理に尽きる」「結果として二十数人にのぼるTOBチームの総合力を高めた」と話す。
横浜スタジアムの株主は、個人株主が多かったため、一人一人に対して丁寧に説明して回る必要があった。やり取りの中でコミュニケーションミスがあれば、それだけ時間をロスしてしまう。そうした細かな点にも配慮しつつ、全体のプロセスを徹底的に管理した。そうした取り組みが功を奏し、個人株主の約8割が公開買い付けに応募する結果となったのである。
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