早期黒字化も視野に 横浜DeNAベイスターズ、スタジアム買収でどうなる?:池田球団社長が語る(3/4 ページ)
今年1月末、悲願だった横浜スタジアムの運営権を手に入れた横浜DeNAベイスターズ。具体化してから急ピッチで進められたTOB成立までの経緯、これからのビジョンなどを池田社長が語った。
9つのキーワード
横浜スタジアムを手中に収めたことで、いよいよ横浜DeNAベイスターズは本格的な大改革に取り組む。買収完了後に池田社長が打ち出した新たなボールパーク構想には、具体的なビジョンが示されている。それが以下の9つのキーワードであり、今までの横浜スタジアムに足りなかった要素だという。
(1)COLOR(色)
ボールパークと周辺のあらゆるところに点在するチームカラー。魅力的なボールパークは、どこもチームを象徴するカラーで統一されています。
(2)ENTERTAINMENT(イベント・演出)
勝ち負けだけではない、野球の魅力の一つは、球場の演出。「もう一度行きたい」と思ってもらえることこそが、魅力的なボールパークの条件だと考えています。
(3)SEAT(シート)
様々な人が、様々なシチュエーションで野球を楽しめる。そこには魅力的なシートが不可欠です。
(4)HISTORY(歴史)
どれだけモダンなボールパークを造ったとしても、その地で積み上げられた歴史をお金で買うことはできません。ここ横浜スタジアムには、日本の野球の歴史が詰まっています。それを大事にしていきたい。
(5)BALL“PARK”(野球の公園)
横浜スタジアムは、恵まれたことに横浜公園の中に建っています。スタジアムの外は、横浜で暮らすビジネスマン、家族たちの憩いの場。この立地を生かさない手はありません。
(6)FOOD(食)
魅力的なボールパークには、“そこで食べたい名物”があります。
(7)GREEN(芝)
子供たちも夢見るプロ野球を行うグラウンドは、本物であって欲しい。天然芝、人工芝、どの選択肢であっても、最高のコンディションを整えたい。
(8)BEYOND(超える)
スタジアムは、グラウンドで野球が行われるだけでなく、その街の象徴として、球場外と密接に繋がっています。コンクリートの境界を越えて、目指したいのは街に開かれたボールパークです。
(9)LANDSCAPE(景観)
魅力的なスタジアムの多くは、その街の風景の中で魅力的に、溶け込んでいます。そうすれば、街のアイコンとして、そこに住む人たちの心にしっかりと根付くことができると思います。
このボールパーク構想を作るため、池田社長は球団設立の初年度から米メジャーリーグのスタジアムだけでなく世界中の名だたるスタジアムを70カ所以上視察して回った。そこから得たインスピレーションやヒントを組み合わせて、9つのキーワードにまとめるとともに、未来予想図イメージとして固めたのが記事冒頭の写真である。
「当初は単価の高い席やユニークな席をどう作るかと部分最適な考え方があったかもしれない。ところが多くのスタジアムを回る中で、文化遺産として価値が高く、例えば、野球の試合をやっていないときでも皆が来たくなるようなスタジアムを作るべきだという全体最適な考え方に変わった。4年間かけてやっと球場の大切さを本質から理解することができた」(池田社長)
さまざまなスタジアムを見る中で、特に街の景観に溶け込んでいるピッツバーグ・パイレーツの「PNCパーク」と、公園の中にあるサンディエゴ・パドレスの「ペトコ・パーク」に感銘を受けたそうだ。
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