実は怖い、インド便のトイレ:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
航空会社のトラブルが相次いでいる。男性が警察に引きずり出されたり、母親がベビーカーを奪われたり。いずれも米国の航空会社で起きたわけだが、客室乗務員によると「インド便で深刻な問題がある」という。どういうことかというと……。
航空会社に非はないが……
シンガポール航空の場合は、客室乗務員がかわいそうな気もするが、それでも「満足度ランキングで何としても上位に」という目的は果たしている。それは利用者にとっても、結果的にはいいことである。
S氏によれば、ユナイテッド航空が乗客を暴力的に引きずりおろす原因となった「オーバーブッキング」については、航空会社に非はないという。「オーバーブッキングは飛行機で旅をする以上は付いて回るものだ。すべてのチケットに規定が付随している。ただユナイテッドのケースではグランドスタッフ(地上勤務職員)と警察の対応が悪い。さらに釈明をしたCEO(オスカー・ムニョス最高経営責任者)が、傷口に塩を塗ったと言える」。
確かに、航空チケットを購入する際にはさまざまな規定やルールが付いてくる。それを「知らない」と突っぱねるのは、航空会社から見ると、クレーマーにしか見えないのだろう。事実、2016年だけを見てもユナイテッドの飛行機からオーバーブッキングで飛行機を降りた人の数は約6万3000人に及ぶ(デルタ航空は約13万人)。それほどの人がルールに従っていることを考えれば、ムニョスCEOが、引きずり降ろされた乗客は「けんか腰」だったからああなった、と発言したのも理解できなくはない。ただもちろん、この発言は大きな批判を浴び、企業のトラブル対策としては最悪だった。
ちなみにオーバーブッキングはシンガポール航空や日系航空会社でも起きうることだが、ケガをさせてまで引きずり出すケースはS氏の知る限り聞いたことがないという。別の客室乗務員を乗せるために乗客を無理やり降ろそうとした今回のユナイテッドとは違い、非番の客室乗務員や関係者など身内をまず降ろすことが多いという。
こうした問題はいつ私たちの身に降りかかってもおかしくない。到着先のホテルなど先の予定を立てていたら、たまったもんじゃない。正統に料金を支払って購入し、飛行機に乗り込んで出発を待っているだけなのに、突然暴力的に引きずり下ろされるなんていうのはとんでもない話である。
ただどんなに憤ってもS氏の言う通り、それが飛行機に乗る規定のひとつならば、もはやどうすることもできないし、今回の問題があったからといってすぐにルールが変わることもないだろう。不幸にも降りるよう選ばれたら、「そういうものだから、あきらめるしかない」ということだ。アメリカン航空のケースについても「ベビーカーは持ち込みにいろいろと制限などがあるから、おそらくグランドスタッフが扱いを誤ったのではないか」(S氏)と指摘した。
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