アマゾンがアパレルに進出 何かが変わるかもしれない:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
アマゾンがアパレル分野での新サービス「プライムワードローブ」を発表した。このサービスによって近い将来、洋服の買い方が一変するかもしれない。
Amazon.com(アマゾン)は6月20日、アパレル分野での新サービス「Prime Wardrobe(プライムワードローブ)」を発表した。プライムワードローブはアマゾンの有料会員であるプライム会員が対象で、購入前の服を自宅で試着できるというもの。
ファッションカテゴリーにある商品の中から3点以上を選択すると、専用ボックスで商品が送られてくる。利用者は自由に試着し、気に入らなかったものは同じボックスに入れて返送できる。返送料は無料で、気に入った商品はそのまま購入することも可能だ。
3点以上を購入すれば価格は10%割引に、5点以上を購入すれば20%割引になる。購入した商品以外には一切お金がかからないので、有料会員は気軽に利用することが可能だ。試着できる期間は1週間。
無料で試着・返品ができるサービスは世の中に既に存在しているが、圧倒的な規模を持つアマゾンがこのサービスに乗り出した意味は大きい。アマゾンがアパレル分野に参入した本当の狙いは、これまで人が担っていたアパレル業務のAI化にある。
実はアマゾンは同じタイミングで、あるAIツールをリリースしている。それは会話型AIスピーカー「Amazon Echo(アマゾンエコー)」の機能拡張版「Echo Look(エコールック)」である。
エコーは話しかけるだけで買い物をしたり、必要な情報を入手できるAI端末で、英語圏では既に2500万人以上の利用者がいる。会話側AI市場におけるエコーのシェアは75%で、今のところアマゾンの独壇場だ。
エコールックは、そのエコーの機能に加え、全身写真を撮影する新しい機能を搭載した。カメラやフラッシュなどが内蔵されており「写真を撮って」と話しかけると、全身写真を自動で撮影してくれる。背景は自動で処理されるので、多少散らかった部屋でもきれいな全身像を撮影することが可能だ。価格は199.99ドルで、2017年5月から順次出荷を開始している。
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