トランプか金正恩か、それとも……。本当に「クレイジー」なのは誰だ:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
相変わらず、トランプ大統領のツイートが話題になっている。北朝鮮に対して過激な発言が続いているが、その裏には何があるのか。ビジネスマンとして成功したトランプ流交渉術のひとつなのかもしれない。
2017年10月7日に米国のドナルド・トランプ大統領がつぶやいたツイートが米国で大きく報じられている。
どんな発言だったのか。トランプは北朝鮮情勢について、「これまでの大統領や政権は25年間にわたって北朝鮮と対話し、合意が結ばれ、巨額のカネが支払われてきた。だがうまくいかなかった。インクが乾く前に合意はほごにされ、米国の交渉者はバカにされてきた」と、過去の合意が破られてきたと指摘。これは基本的に安倍晋三首相が最近、北朝鮮について述べているのとほぼ同じ意見である。
トランプはその上で、「申し訳ないけど、有効な手立てはひとつしかないだろう」とツイート。これが「憶測」を呼んだ。「軍事攻撃」が残された唯一の方法であるかのように匂わせるコメントだと指摘する声も上がった。
本来なら日本でも大騒ぎで報じられてもよさそうなものだが、これまでのトランプ発言に比べて、報道もおとなしい。日本では衆院選が盛り上がっていることがその最大の理由だろうが、それ以外にも、彼の発言に「またか」という空気ができつつあるからだろう。
ただ結局のところ「唯一の手立て」は、「圧力強化」というオチだろう。メディアこそトランプにいいように「バカにされて」いると言えそうだ。
そもそも米政権や安倍首相の言う「すべての選択肢がテーブルの上に」と言うのは、言葉にする必要のないくらい当たり前の話だ。議論の場における「テーブルの上」には、どんな状況でもどんな問題でも、常に考えられる「すべての選択肢」があるのだから。しょせん「選択肢」に過ぎない。
トランプはこれまで核・ミサイル実験を行う北朝鮮を「ならず者政権」「自爆作戦をしている」と指摘したり、金正恩委員長を「ロケットマン」と呼んだり、さらには「マッドマン(狂人)」となじってきた。これには「お前も人のことは言えない」という声もあり、似た者同士であると指摘する人もいる。
こうした大統領とは思えないトランプのクレイジーな発言は、実のところ計算されているふしがあるとの見方が出ている。トランプがわざと大統領として破天荒なキャラを演じているとしたら……。しかも、そこには不動産王と言われたビジネスマンだったトランプ流の「ビジネス哲学」が絡んでいるようなのだ。
それだけではない。一方の金委員長も「マッドマン」認定してしまっていいのかという疑問も出始めているのである。
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