トランプか金正恩か、それとも……。本当に「クレイジー」なのは誰だ:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
相変わらず、トランプ大統領のツイートが話題になっている。北朝鮮に対して過激な発言が続いているが、その裏には何があるのか。ビジネスマンとして成功したトランプ流交渉術のひとつなのかもしれない。
トランプ流交渉術
最近、トランプが外交などでわざと「トランプは何をしでかすか分からない」と交渉相手に思わせるよう指示していたことが表面化している。
どういうことかというと、トランプ政権が検討している韓国との2国間FTA(自由貿易協定)の見直しについて米国政府内の協議内容が漏れ伝わっており、そこで大統領は担当者に「トランプ流交渉術」を伝授したという。
米国の貿易赤字の原因は韓国との自由貿易協定にあると主張してきたトランプは、韓国とのFTAの見直し交渉を行う担当者とこんなやりとりをしたと報じられている。
以下は、その打ち合わせに参加した政府高官らの証言による再現である(参照リンク)。ちなみにこの場には、ジェームズ・マティス国防長官やレックス・ティラーソン国務長官もいた。トランプは担当者のロバート・ライトハイザー通商代表にこう言った。
トランプ: 猶予は30日だ。(韓国政府から)譲歩を引き出せなければ、協定を破棄する。
ライトハイザー: 分かりました。韓国側に30日だけ与えると伝えます。
トランプ: 違う、違う、違う――。交渉ってのはそうやるんじゃない。
そうトランプは口を挟んだという。さらにこう続けた。
トランプ: 交渉相手に、30日与えるなんて言っちゃだめだ。じゃあ何と言えばいいか。「あの男は本当にクレイジーだから、今すぐにでも破棄しかねないぞ」と言うんだ。そう、「今すぐにでも」というのを伝えるんだ。もっとも、実際にその気はある。みんな、そう思っていてくれ。とにかく30日とは相手に言わないことだ。30日と知ったら、ヤツらは時間稼ぎをすることになるだろう。
で、交渉はどうなったのか。結局、この手法は成功した。韓国政府は10月4日に、FTAについて再交渉に向けた続きを始めることに合意した。トランプ政権に見事に押し切られたのである。
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