市場を混乱させる「希望の党」の公約:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
10月22日投開票の解散総選挙はいよいよ後半戦に入った。与党有利と伝えられているが、選挙はフタを開けてみるまで分からない。今回の選挙では、希望の党がこれまでにない経済政策を打ち出したことで、結果によっては経済やビジネス環境が大きく変わる可能性が出てきた。選挙がどのような影響を及ぼすのか探った。
今回の選挙戦における最大の争点はやはり「消費税」だろう。自民・公明両党は10%への増税を実施する代わりに教育の無償化を打ち出した。一方、希望の党は10%への増税を凍結するとしている。
安倍政権は、日銀が積極的に国債を購入する量的緩和策を実施。4年間で約310兆円のマネーを市場に供給した。当初は2%の物価目標が達成可能かと思われたが、消費税が8%に増税された2014年4月を境に物価上昇が鈍化。2%の物価目標はまだ達成できていない。
増税は最終的には政府支出などを通じて国民の所得となるので、景気に対する影響はニュートラルなものである。だが、景気が悪いときに増税すると、消費者のマインドが冷え込み、より景気が低迷してしまう。実際、前回の増税でもこうしたマイナスの効果があったことは間違いないだろう。
当時と現在を比較して、日本経済の状況が大きく変わったわけではないが、今年は世界経済が比較的堅調に推移している。輸出企業などに恩恵が及ぶので、仮に10%への増税が行われたとしても、前回のようなショックは起きないと考えられる。
その点からすれば、自民党が勝利して増税が実施されても、ビジネス環境に大きな変化はないと思ってよい。逆に言えば、希望党の党が躍進し、仮に増税が凍結されたとしても、その効果も限定的ということになる。
むしろ気になるのは金利の動向である。今の日本において金利の上昇が起こってしまうと、政府の財政は一気に苦しくなり、緊縮財政を余儀なくされる。
政府支出が削減されれば、建設業界への影響が大きくなるのはもちろんのこと、IT業界にも影響が及ぶ。実はIT業界は政府関連受注の比率が高く、歳出削減の影響を大きく受けやすい。不動産業界も、低金利を背景に販売を維持している側面が強いので、金利が上がれば市況が冷え込む可能性が出てくるだろう。
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