自分の価値を取引する「VALU」の存在価値は?:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
自分の価値を取引するという新しい概念を提唱した新サービス「VALU(バリュー)」。既に自身を“上場”した人は1万人を超えているそうだが、VALUとはどのようなサービスで、どのような可能性があるのか。改めて整理してみた。
「VALU(バリュー)」は2017年5月にサービスを開始したばかりで、その運営会社のVALUにはホリエモンこと堀江貴文氏も出資している。同社のサービスを簡潔に説明すると、個人が擬似的な株式を売り出して資金調達を行ったり、投資家が疑似株式を売買できるネット上の取引所だと言える。
ここでは「株式」と表現しているが、当然のことながら個人が株式を発行することはできない。VALUで発行されるのは、厳密には株式ではないが取りあえず、株式、あるいは疑似株式としてVALUの説明を進めていく。
株式の売り出しは意外と簡単だ。売り出しを希望する人は、サイトに登録してFacebookやTwitter、Instagramなどと連携させる。すると、フォロワー数などから自動的にその人の時価総額が算定されるので、その価値に応じた模擬株式を売り出すことができる。
フォロワー数などが少ないと価値が算定できず、売り出しができない状態となる。後ほど、詳しく説明するが、VALUはネット上での個人の人気度を金銭化するサービスともいえるので、フォロワー数といった指標が決定的な意味を持ってくる。
株式の売買はビットコイン(BTC)で行われる。自身の価値が0.1BTCと算定された人が10株を発行すると、1株の値段は0.01BTCになる。このうち1株を売り出して、それが当初価格の2倍である0.02BTCで売れた場合には、本人には0.02BTCが入ってくる。残り9株は保有したままだが、株価は0.01BTCから0.02BTCに値上がりしているので、9株×0.02BTCとなり、潜在的な資産は0.18BTCに上昇したことになる。
この仕組みは、自身が創業した会社を株式市場に上場し、その株価が上昇すると創業者の資産も増大する話とまったく同じである。企業の株式の代わりに、個人の疑似株式が売買されているだけである。
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