神戸製鋼問題で世界が問題視する「日本企業文化」:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
神戸製鋼のデータ改ざん問題が大変な騒動になっている。自動車や航空機などで同社製品が使われているので、その影響は拡大していきそうだが、海外メディアはこの問題をどのように報じているのか。まとめてみると……。
バブル時代の遺産が日本を苦しめている
英語やアラビア語でニュースを提供するアルジャジーラはアラブ諸国を中心に多くの視聴者を抱えている。同局の発表ではその数は世界で4000万人にもなるというが、アラブ圏には日本製品のクオリティーを評価している親日の人が多いだけに、こう何件もニュースで報じられると、かなりのネガティブなインパクトを与えることになるだろう。
英国で発行されているタイムズ紙も、日本の企業文化を問題視している。「日本の中間管理職が失敗やミスを上司に上げたがらないという日本の企業文化が原因のひとつの可能性がある」という。これだけではちょっと言葉足らずでなぜ「中間管理職」なのかは分からないが、アルジャジーラに登場した専門家のようなことが言いたかったのだろう。
タイムズ紙はさらに深いところで分析を試みている。「日本全体を苦しめている中核となる問題は、1980年代に短い期間人々を夢中にさせたバブル時代の遺産だ。世界最大の経済国として米国をも超えるかのようだったが、それは維持できない資産価値によるもので幻想だった。だがそれによって、神戸製鋼のような会社のセルフイメージが形成された。理想的な会社はグローバルに展開し、最高水準の品質に献身するものであるだろうと」
要するに、今回のスキャンダルはバブル時代が生み出した高品質崇拝に背景があるということらしい。さらに中国などが低いクオリティーを提供する中、多くの企業が日本の提供するハイクオリティーは高くて手が出ないと考えているのに、それを提供しなければいけないと神戸製鋼は勝手に思い込んでいると指摘する。
もちろんタイムズのいち記者の見解に過ぎないのだが、少なくともこの記事が世界各地で読まれていることは間違いない。
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