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急成長中の日本ワイン 礎を築いた先駆者たちの挑戦:日本ワイン 140年の真価(3/5 ページ)
日本で本格的なワイン造りが始まってから140年。いまや急成長を続ける「日本ワイン」はいかにして生まれ、発展してきたのだろうか。先人たちの苦闘と挑戦の歴史を追った。
日本ワインの父
同じころ、新潟でもワイン造りに情熱を燃やしていた男がいた。“日本ワインの父”と呼ばれる川上善兵衛氏だ。
川上氏は豪雪地帯である故郷・新潟で米作りを行う農家が悪戦苦闘するさまを見て、新たな産業を興すことがこの地域を助けることになると痛感。そこで山梨へ赴き、フランスから帰国した土屋氏からブドウの栽培やワイン醸造の技術を学び、自宅の敷地内に岩の原葡萄園を開設した。
さらに川上氏は、日本の気候に適したワイン用のブドウを作るために海外から多くの種類の苗木を取り寄せて品種改良を始めたのである。1万回を超える品種交雑によって27年に誕生したのが、今なお日本の赤ワインの代表的な品種であるマスカット・ベリーAとブラック・クイーンだ。そのほかにも20を超える独自品種を開発した川上氏の功績は計り知れない。
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