ネスレ日本が宅配事業に参入 商品を配達するのは一般人!?:輸送コスト増に奇策で対抗(1/2 ページ)
ネスレ日本が佐川急便と組んで宅配事業に参入。一般人に宅配の中継になってもらいユーザーに配達したり逆に取りに来てもらう。急増するネット通販の配達コストを削減する。
佐川急便と共同でスタート
ネスレ日本は自社商品を購入者のいる地域の一般人に配達してもらうサービス「MACHI ECO(マチエコ)便」を10月1日にスタートすると発表した。佐川急便と共同で運用する。
ネスレ日本は「ネスカフェアンバサダー」を始めとする定期のネット通販が伸びているが、運輸業界のドライバー不足に端を発する配送コスト増に悩まされてきた。宅配業務の一部を一般人に担ってもらうことで大幅なコストカットを狙う。
新サービスでは地域の一般人に「ECO HUB(エコハブ)」と称する宅配の中継役になってもらう。主に街の店舗や、昼間も自宅にいることの多いシニア家庭を想定している。エコハブの自宅や店に近隣のユーザーが購入した商品が佐川急便経由でまとめて送られてくる仕組みだ。
エコハブはユーザーの家まで徒歩や車などで配達するほか、ユーザーが受け取りに来るのを自宅や店舗、あるいはネスレ日本から借りて設置した専用ロッカーに置いて待つことになる。エコハブは配送料のうち一定割合をネスレ側から報酬として受け取る仕組み。
ユーザーはネスレ日本のサイトで購入した商品について近所のエコハブを利用するかどうか選択することができる。指定したエコハブに手ずから配送してもらう以外に、自分でエコハブの自宅や設置ロッカーまで受け取りに行くと配送料が5%割引になる。ユーザーへの配達には段ボールを使わず、エコバッグに商品を入れて運んでもらうことで環境にも配慮した。
扱う商品は職場にコーヒーマシンを無料で置いてコーヒーを買ってもらう「ネスカフェアンバサダー」や、ユーザーの健康習慣をチェックして商品を提案する「ネスレウェルネスアンバサダー」など、基本的にサイトで定期購入するものが対象となる。
既に東京で100カ所、大阪では30カ所のエコハブの拠点を設けて試験運用を始めている。今後、本サービスを専門に運営する会社を設立する予定という。他社商品も購入可能なプラットフォームを設け、P&Gやファンケルといったネット通販に強い企業の商品も扱っていく方針だ。2025年までにユーザー数100万人をめざす。
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