コーヒーの「ネスレ」が無料でDNA検査サービス、真の狙いは:飲料メーカーがここまでやるのか(1/2 ページ)
ネスレ日本がDNA検査や食事分析などを通じてユーザー個人の健康状態を把握、商品を提供するサービスを始める。消費者のプライベートに売り込む同社独自のマーケティング手法だ。
「ネスカフェ」ブランドや「キットカット」で知られるネスレ日本は、ユーザーに「健康的な習慣」を提案することで商品を売り込むプロジェクト「ネスレ ウェルネス アンバサダー」の新サービスを発表した。5月28日の会見で明かされたその内容は、生命保険会社との提携に加え「ユーザーに無料でDNA検査や血液検査を受けてもらう」など飲料メーカーでは異例のもの。ネスレ日本の本当の狙いはどこにあるのか。
ユーザー個人の健康状態から商品提案
新サービスは5月28日にスタート。「無料の食事分析や検査を通じ、ユーザー一人一人に応じた健康習慣を提案する」というのがコンセプト。ユーザーはまずサービスのLINEアカウントに友達登録を行う。そして自分の食べる食事の写真を送ると、サービスのアカウントから栄養分析と食事へのワンポイントアドバイス、そして不足しそうな栄養素を補うネスレの商品提案が送られてくるという仕組みだ。
無料のDNAと血液検査は、サービスの中でも有料の特別定期コースに加入したユーザーが対象。郵送されてきた検査キットを使って血液や唾液を検査会社に送り返す。さらに、ユーザーの希望に応じて管理栄養士から詳細な食生活アドバイスを聞けるという。ユーザーから検査結果を直接もらって商品を提案するのは医療行為になるので、検査会社から「肥満になりやすい」といったユーザーの体質を聞いて、ネスレは商品提案していく。
いくら健康系の食品が売れているとはいっても、大半のメーカーは「〇〇に悩む人にはこの商品をどうぞ」といった「マス向け」の売り方が一般的。食品飲料業界でここまでユーザー一人一人の健康に踏み込むマーケティングは異例だ。
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