タクシーの中でコーヒーをどうぞ ネスレ日本の隠された狙い:謎コラボが深い!(1/2 ページ)
ネスレ日本は日本交通と組んで、タクシーの車内で美容ケアなどをしつつコーヒーを飲んでもらう「眠れる森の美女タクシー」キャンペーンを始めた。働く女性に的を絞り、プレイべート空間に商品を売り込むネスレ日本ならではの戦略と言える。
コーヒーの「ネスカフェ」ブランドで知られるネスレ日本は日本交通と提携し、タクシーの車内でコーヒーを飲みつつ美容ケアをしながら帰宅できる「眠れる森の美女タクシー」キャンペーンを期間限定で実施する。それにしてもなぜ、コーヒーの販促のためにタクシーと美容を組み合わせるのか。一見関係ないキーワードを組み合わせた謎の企画だが、実は「プライベート空間」にうまく入り込んで商品を売るネスレ流のマーケティング戦略が隠されていた。
「美容ケアしながらコーヒーも飲んで」
コンセプトは「タクシーの車内で美容ケアとリラックスができる」。事前に応募した利用者は、日本交通が用意する高級車「トヨタ エスクァイア」で勤務先などから自宅までの送迎を依頼する。ゆったりとした車内にはメイクオフ用のシートやパック、鏡が用意されており密室で美容ケアができる。運転手も女性のみに限定。座席にはふかふかのシートを敷き詰め、マッサージ器具や空気清浄機まで置くなど車内を徹底的にカスタマイズした。この中で人目を気にせず化粧を落としてリラックスしつつ、ネスレ日本のカフェインレスのボトルコーヒーを飲んでもらうという寸法だ。
本企画はネスレ日本が日本交通に持ち込んで実現した。しかし、なぜ「タクシーの車内」と「美容」という組み合わせなのか。ネスレ日本の担当者は「時間を有効活用したい多忙な働く女性を応援したいと考えた」と説明する。コーヒーに含まれるポリフェノールが美容にいいとされていることもあり、特に働いていて忙しい女性に照準を合わせ、美容ケアというキーワードを強調してコーヒーを売り込む戦略だ。なぜタクシーなのかというと、「美容ケアできるパーソナルな空間でコーヒーを提供したかった」(担当者)だからだという。
2016年の全日本コーヒー協会の調査によると、1人が1週間に飲むコーヒー量は30代までだと男性が女性を一貫して上回り、それ以上ではほぼ並ぶ結果となっている。ネスレ日本の一見ユニークな取り組みも、働いている比較的若い女性にターゲットを絞ってアピールすることで、コーヒーの新たなニーズを掘り起こしたいという意図がありそうだ。
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