コカ・コーラの「地域限定ボトル」が急増している理由:観光名所やシンボルをデザイン(2/3 ページ)
コカ・コーラの「地域限定ボトル」が外国人観光客などの人気を集めている。観光名所などをデザインしたパッケージで、26種類まで増えた。一気に広がったのはなぜか。担当者に開発の裏側を聞いた。
地元の人の「視点」を取り入れる
地域限定デザインには、その地域の観光名所を盛り込んだデザインもあれば、名古屋の「金のしゃちほこ」、広島の「広島東洋カープ」のように、モチーフを1つに絞ったデザインもある。どのように決めているのだろうか。
石井氏は「デザインを決めるのは難しい」と話す。赤を基調としたコカ・コーラのブランドイメージを損なわずに、地域の特色を打ち出さなければならないからだ。ボトラー社を通じて、自治体や地場企業、プロ野球球団などに確認し、細かい点まで調整を重ねながら決定する。「地元のニーズがあっても、うまく入らなかったモチーフもあります。何を選ぶか、というところは毎回悩みます」
一方で、自治体などへの聞き取りによって分かった、地元ならではの「視点」を積極的に取り入れている。
その一例が「富士山」だ。実は「富士山」ボトルは2種類ある。それぞれ静岡と山梨の限定デザインだ。富士山は両地域を象徴するモチーフだが、見え方はそれぞれ違う。それぞれの見え方を反映したデザインで、地域にとっての富士山を表現している。
また、細かい部分にニーズを反映したデザインもある。通常、スリムボトルのパッケージの裏には、コンツアーボトルのシルエットを入れているが、「千葉」ボトルは異なる。銚子市のシンボル「犬吠埼灯台」のデザインが入っている。
地元の人の視点は、「みちのく」「瀬戸内」「湘南」など、ボトルの名称にも表れている。都道府県名や主要都市名を使うことが、地元の感覚に合うとは限らないのだ。
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