ワタミが“ビッグデータ集客”に挑む深い理由:グルメサイト頼み、変える(2/3 ページ)
ワタミがビッグデータを活用した集客実験を開始した。予約システムのIT化を図りデータを集積。グルメサイトばかりに依存しない販促を模索。
ユーザーデータを囲い込む
グルメサイトの利用は維持しつつ、依存しすぎないための新たな販促方法としてワタミが考えたのがオウンドメディアによるユーザーの囲い込みだ。外部サイトを介さず、自社の各店舗のWebサイトとメールや広告を連携させて直に客を店に導く。現在、まず鳥メロの各店舗でサイトを立ち上げて進めている。
その前提となるのが、Webや電話から店に直接予約してきた顧客情報を取りまとめるシステムの確立だった。グルメサイト経由でなく、自社のシステムで漏れることなく予約を受け付ける必要があるからだ。
16年ごろにワタミの担当者らが長崎県にある自社のコールセンターを訪れたところ、顧客情報のデータ化はおろか、オペレーターは「正」の字を紙に書いて電話してきた人数などを数えていた。「電話がどこからかかってきたのか、こちらが話し中で何本予約を取りこぼしてしまったのかという情報も分からない状態。でもここに金脈があると考えた」(同社の担当者)。
早速イデア・レコードの持つ、コールセンターに寄せられる詳細な顧客情報をオペレーターに入力させてデータ化して管理するシステムを導入した。同社の予約管理システムなども入れることで、電話予約時の取りこぼし防止やネット予約の円滑化を進めた。結果、ミライザカでは17年度のネット予約数が導入前の前年度より2.5倍になったという。
ただ、これらの予約管理体制のデジタル化も、真の狙いは顧客情報の集積にある。グルメサイトを通じても予約は来るが、「そのときの顧客情報は自社の中にたまらない。情報は囲い込んでいきたい」(ワタミの担当者)。
同社が今後狙っていくのが、ビッグデータを使って顧客を狙い撃ちし、直接囲い込むマーケティング施策だ。同社の担当者は「今まで(グルメサイト上で)『投網』で客をとっていたのを、いわば釣りにするようなもの。漁の仕方を変える」と説明する。
関連記事
- 「値上げはしない」苦境の吉野家が挑む“初めてのマーケティング”
コスト高にあえぐ吉野家が“初めてのマーケティング”に挑戦。新型店舗で女性客を取り込み多彩なクーポンも発行。今後は単価を高くするメニュー提案も。 - AIが無くすドブ板営業 Sansan、名刺データから最適な“出会い”提案
Sansanが名刺データをもとにビジネスで「次に社外の誰に会うべきか」をAIが提案するサービスを展開。アナログな営業手法を最適化する鍵に。 - 心折れる営業のテレアポ地獄、ビッグデータが撲滅!?
法人向け電話営業の自動化にベンチャー企業が挑戦。電話リストをビッグデータで自動作成。事前メールを活用してアポの成功率を高める。 - ハンバーガーの肉が倍になる夜マックが「客にも店にもオイシイ」真の理由
マクドナルドのパティが100円で倍になる「夜マック」が好調だ。夕食のニーズを創出したことに加え「完全な新商品」でない点が店側のメリットにつながっている。 - 「勝手に“天職”を見つけ出す転職AI」が進化 辞めたいタイミングを“予知”!?
AIを活用した転職サービス「scouty」にエンジニアの「転職意欲」を予測する機能が実装。企業は欲しい人材が本格的な転職活動に移る前にスカウトできる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.