心折れる営業のテレアポ地獄、ビッグデータが撲滅!?:セールステック企業が挑戦(1/3 ページ)
法人向け電話営業の自動化にベンチャー企業が挑戦。電話リストをビッグデータで自動作成。事前メールを活用してアポの成功率を高める。
多くの営業担当者にとって「必要不可欠だが気のすすまない」業務のひとつと言えそうなのが、テレアポだ。法人向けマーケティングを手掛けるイノベーション(東京・渋谷)が2015年にWeb上で法人営業の担当者約300人に行ったアンケートによると、「最も精神的苦痛を伴う活動」として14.1パーセントが選んだのが「新規見こみ顧客へのテレアポ」。「新規見こみ顧客への飛び込み営業」(35.6パーセント)に次いで2位となった。
電話をいくらかけてもなかなかアポにつながらず、つれなく断られ続けて心身ともにすり減らしている営業マンは少なくないのでは。そんなテレアポ作業の手間をITの力で減らすサービスをベンチャー企業が開発している。
テレアポのリストを自動作成
Onion(東京・渋谷)が17年から企業向け法人営業支援サービスとして試験展開しているのが「APOLLO SALES(アポロセールス)」だ。新規顧客開拓のテレアポ業務の一部をビッグデータを使って自動化し、省力化を図る。
まず、営業マンが電話をかける前に作成する、新規の見こみ顧客を羅列したアタックリストを自動で作成する。サービスのシステムが多種多様な企業のWebサイトの情報を大量に収集して、あらかじめデータベース化。その上で、顧客企業の営業マンのニーズに合った企業を抽出してリストアップする仕組みだ。
さらに、電話をかける前にあらかじめアポの成功率を上げる仕組みもとる。見こみ顧客へ電話前にシステムがメールを自動で送付する。受け取った先方の担当者が文面の中にあるリンクを踏むなど、関心の高そうに見える顧客企業を絞り込むことでテレアポを成功させやすくする。同社の川村亮介社長によると、社内外でこのメールの自動サービスを導入したことで、アポの成功率は5〜7倍くらいに上がったという。
アポロセールスは現在約200社に試験導入されており、19年ごろに本格リリースを目指す。開発の背景について川村社長は「法人営業は雑務の反復で、多くの人とって面倒くさい」と指摘する。
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