SCOへのUNIX著作権移転には「疑問がある」と判事

SCOが昨年1月にNovellを名誉毀損で訴えた訴訟に関して、担当判事はNovellが実際に著作権を引き渡したのかどうかについて、少なくとも疑問はあるとの見方に傾いているようだ。(IDG)

» 2004年06月12日 09時17分 公開
[IDG Japan]
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 米SCO Groupが実際にUNIX System Vの著作権を保有しているのかどうかについてはまだ論議の余地があると、米連邦地裁が6月9日示した判断で指摘した。

 この判断は、SCOが昨年1月にNovellを名誉毀損で訴えた訴訟に関して出されたもの。現在ユタ州の米連邦地裁で審理が行われている。

 この訴訟の争点は、1996年の契約修正条項が具体的に何を意味するかという点だ。SCO側は、これによってUNIXの著作権が移転したと主張。一方Novell側は、これは特定の状況下のみでの著作権移転について定めたものだと主張、SCOはこの状況を満たしていないと述べている。

 デール・キンボール判事は、Novellが実際に著作権を引き渡したのかどうかについて、少なくとも疑問はあるとの見方に傾いているようだ。「(修正条項の)文言にはあいまいな点があり、訴訟の現時点で、(修正条項が)著作権の移転を意図したものだったかどうかについては疑問がある」と記している。

 SCOは、この訴訟は著作権が移転したかどうかに争点があるのではないとして、州の裁判所に移管するよう申し立てていた。

 しかしキンボール判事は今回の決定でSCOのこの申し立てを退け、審理は連邦地裁で継続されることになった。

 一方で同判事は、訴訟の却下を求めたNovellの申し立ても退け、「SCOが自社の主張を裏付ける証拠を何も提出できないとの判断は下せない」と指摘している。

 同判事がSCOの申し立てを退けたことは、訴訟に注目していた向きには意外と受け止められている。「ほとんど誰もが、この件に関してはSCOの主張が通るだろうと思っていた」。SCO訴訟を注視するオープンソース擁護者の非公式フォーラムとなっているサイト、Groklawのエディター、パメラ・ジョーンズ氏はこう話す。

 一方、SCO対IBM訴訟の審理開始は、来年11月1日まで延期となった。SCOは準備に時間がかかるとして延期を申請していた。

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