IT投資で「期待以上の成功」はたった0.6%

ガートナージャパンのITデマンド調査室は、日本の企業ユーザーにおけるIT投資効果の実態についての調査結果を発表した。

» 2004年08月18日 17時16分 公開
[ITmedia]

 ガートナージャパンのITデマンド調査室は8月18日、日本の企業ユーザーにおけるIT投資効果の実態についての調査結果を発表した。調査の目的は、これまでのIT投資が、実際に企業の期待にどれだけ応えているかを明らかにすること。さらに、成功している企業としていない企業のITの運用体制を比較し、分析した結果、経営者のトップダウンによるIT導入が重要であることが強調されている。

 同社は5月の調査で、IT投資の成果を「期待以上の成功」から「完全に失敗」までの7段階に分けて回答を求めた。

 調査結果では、「期待どおりの成功」はわずか6.6%。「期待以上の成功」は0.6%となり、IT投資で期待どおりの効果を挙げた企業が非常に少ないことが明らかになった。

 一方で、「どちらでもない」や「失敗」というネガティブな回答も3割を超えなかった。

 結果として、大きな比率を占めたのは、「ある程度は成功」の回答で61.8%。全体としては、IT投資は一定の効果を挙げているが、期待値よりは低いというのが、多くの企業の見解となっている。

経営戦略とITの統合

 また、ガートナーは、「期待どおりの成功」をした企業とそうでない企業の間で、ITの運用体制にどのような違いがあるかについても調査した。

 これによると、「経営陣はITの重要性を十分理解している」という項目の選択率が、成功した企業ほど大きくなっているという。それ以外の項目も、経営戦略とIT戦略の深い関係を示す結果となった。同社では、IT投資の効果を最大限に高めるには、経営者がITの経営戦略上の重要性を十分理解した上で、さらに、幾つかの条件を満たすことが求められると分析する。

 まず、IT戦略を経営戦略の中の1つとして考えこと。ITを先に考えるのではなく、まず経営目標を掲げ、達成するための経営戦略を考えた上で、その経営戦略の1つとしてITを捕らえるべきとしている。

 次に、経営目標を達成するために、組織全体でITを利用する体制を整えることが求められる。経営者の強力なリーダーシップの下で、社員1人ひとりが経営目標を理解し、目標を意識しながらITを利用するような環境を作る必要があるという。

 また、導入効果を継続的に測定することも必要になる。導入した製品の妥当性を把握できれば、新たな投資への意思決定も明確に行えるからだ。

CIOは必要ない?

 一方、同調査では、CIOの設置の有無が、IT投資の成功にはあまり影響していないという結果も出た。

 「期待どおり/期待以上の成功」を得た企業と「どちらでもない」と答えた企業におけるCIOの設置比率は、両者とも10%前後と差がなかった。ガートナーは、日本企業におけるCIOが、本来理想とするような機能を果たしていない可能性があると結論付けた。

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