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2004/09/29 14:10 更新


「日本初のLinux球団も」ライブドア堀江氏、吼える

9月29日から30日にかけて行われる「LinuxWorld C&D/Tokyo 2004」。開幕特別記念講演には、ライブドアの代表取締役社長兼最高経営責任者である堀江貴文氏が登場し、様々な体質について問題提起した。

 9月29日から30日にかけて新宿にて行われる「LinuxWorld C&D/Tokyo 2004」。初日となる29日の開幕特別記念講演には、すっかり時の人となったライブドアの代表取締役社長兼最高経営責任者である堀江貴文氏が、「ベンチャーのノウハウを活かせば黒字化できる! ライブドアの成功哲学」と題し、エンタープライズLinuxにとどまらないLinuxの可能性について語った。

堀江氏

講演の前にトータルワークアウトに行ってヘトヘトだと話す堀江氏


ライブドア社内のシステムの90%はFreeBSDで構築

 そもそも、堀江氏とLinuxの関係とはどのようなものだろうか。ここ最近の報道から、同氏には経営者としての印象を持たれている方も多いと思うが(もちろんそれは間違いではない)、同氏には開発者としての顔もある。

 同氏がLinuxに触れたのは8年ほど前、主にSun OSと格闘する毎日だった同氏は、安いOSとしてFreeBSDに目をつけたという。それぞれの印象としてはFreeBSDが安定性、Linuxが新機能を実装している点であるとし、その後、ファイアウォールの構築をSlackwareで行うなどもしたという。

「クリティカルな部分はAIXとDB2などの組み合わせだが、現在でもライブドア社内のシステムの90%はFreeBSDで構築している」(堀江氏)

 ビジネスの観点からLinuxを見ると、やはりマイクロソフトの対抗軸としての意味合いを持つようだ。

「ライブドアでもソフトを販売しているが、ソフトウェアの販売は単体の売り上げが50億くらいになるとマイクロソフトさんが対抗商品を出してくる。それはそれでいい戦略だと思うが、対抗する力を持っておく必要があると思った」(堀江氏)

 ライブドアでは、旧エッジ時代の2003年9月にLindows(その後Linspireに名称を変更)の国内販売権を取得、そして2004年3月にはターボリナックスをグループ会社にするなど、Linuxへの取り組みを打ち出している。

「最近のTurbolinx(10F)はワンボタンでインストールができてしまい、フロッピーでブートしてあれこれやっていたような昔の苦労を思うとあれは何だったのかと思うくらい。とはいえ、全体の出来としては、Windows 98、いや、Windows Meくらい」(堀江氏)

 これには会場に来ていたターボリナックスの代表取締役社長兼COOである矢野広一氏も苦笑するばかりだが、堀江氏は未だWindows XPに及ばない部分として、アプリケーションの不足、プリインストールモデルの少なさを挙げている。

ネットバブルの崩壊がLinux普及の追い風に

 続いて堀江氏は、ネットバブルの崩壊がLinux普及の追い風になったと指摘する。それまでの企業は、十分な検討を行うことなく、SIerの勧めるままに、高価なUNIXシステムなどを入れ、無駄なシステム構築を行ってきたが、バブルの崩壊で、費用対効果をシビアに見る必要が生まれ、Linuxの導入が進んだと分析する。

 しかし、実際の導入に際しては、SIerの体質に問題があるという。「未だに人月などという古臭い売り方が横行している。僕は人月の考え方は理解できないし、あれでうまくいくわけがないと思っている。人月は利益率が悪い」と斬り捨てる。そしてそれに変わるものとして、エックスネットの例を挙げる。

「この前会った会社(これはエックスネット)は、顧客の人月という概念を用いている。顧客の従業員数に応じて代金を徴収し、システムトラブルなどすべてに責任を持つ。こうしたモデルのほうが成り立つと思う」(堀江氏)

ITをイットと読む社長の企業は不幸

 続けて同氏は、投資の重要性にも触れる。まず、トップに立つものに求められる資質について触れる。

「トップがITを理解していないと話にならない。そうでないと、システムの話は情報システム部に行くことになるが、僕は情報システム部は癌であると考える。技術者の考えとしては、いいものを使いたがるのは当然で、その気持ちは分かる。しかし、そうなると情報システム部がどんどん膨らんでしまいがち。そうしたことに対しておかしいのではないかと言える社長でないと駄目。ITをイットと読んでいるような社長の企業は不幸」(堀江氏)

 もはや企業活動とは切っても切り離すことのできないITの現状を考えると、IT投資の効率化が収益の5%や10%くらいは左右してしまう。必要ない投資はするべきでないと力説する。

 とはいえ、Linuxを導入したからコスト削減となる、という見方には同氏も批判の目を向ける。問題は、Linuxの導入というミクロではなく、システム全体を見たときのマクロで捉える必要があるという。

「ライブドアも財務システムにSAP R/3を入れているが、そのシステムは5000万円未満で構築できた。こうした財務システムにアクセスするのは社内の限られた人間で、やることは複雑だが、システムを作るのは簡単。無駄なモジュール、例えば慣習などに合わせてマイナスをプラスと表示させるアドオンなど、不要なものを不要であると判断できるかどうかが重要」(堀江氏)

 また、既存の固定概念に捉われて見失いがちだが、日常生活においてITで変えることができる部分はまだまだ多く存在するとし、そうした部分へ目を向けるべきだと話す。

「例えば紙幣や硬貨。もはやほとんどの人が携帯を持つこの状況であれば、QRコードと電子マネーを組み合わせれば、決済を携帯端末で行うことも技術的には可能で、紙幣などを介在させる意味がない。そのほかにも、銀行のATMなどは旧システムを用いているため、それが無駄な手数料となってユーザーに降りかかっている。証券会社の手数料なども改善の余地が多い」(堀江氏)

 もちろんこの後に続く言葉としては、「イーバンクでは…」であったり「ライブドア証券では…」と自社のサービスの紹介も忘れないわけだが、畳み掛けるようにそうした例を挙げることで、旧体質の問題を聴衆に認知してもらうことには成功しているようだった。

 そして、現在のインターネットは第3革命の時期にさしかかっているという。第1の革命はメールの登場、第2はWWWの登場、そして第3の革命とは、XMLの特性を生かしたBlogであるという。

「Blogは、これまで情報を発信することがなかった人でも、本当に気軽に情報発信をすることができる。新しいメディアとして、また、僕が昔から思っていたコミュニケーションツールとしてインターネットがますます普及していくと確信している」(堀江氏)

 最後に同氏は、今世間を賑わせているプロ野球への新規参入申請の件について触れ、「システムなどにLinuxを採用して効率的な投資を行う、日本初のLinux球団を作りたいと思います。応援よろしくお願いします」と述べ、会場からの温かい拍手をもらい壇上を後にした。

[西尾泰三,ITmedia]

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