特集:Windowsフォームにスパイスを――MessengerやOutlookに見る不定形フォームテクVisual Studio Magazine(1/4 ページ)

MSN MessengerやOutlookなどで見られる、効果音と共に印象的な通知ポップアップ表示。従来では難しかったこの効果は、.NET Framework利用で容易となる。Visual Studio Magazine特集連載2回目となる今回は、その開発手法について紹介しよう。

» 2004年11月09日 10時41分 公開
[Andrew Flick, Jason Beres,FTPOnline]

 Visual Studio Magazine誌は、米国でVS専門誌ナンバーワンの発行部数を誇る。ITmediaでは、発行元FTP Onlineから翻訳権を取得。米国発でホットな話題をピックアップし、月に2つの特集を定期掲載していく。

 今回は、Windowsフォーム利用で最近よく見られるようになってきたテクニックの解説だ。.NET FrameworkによるAPI利用で可能となった効果的な表現テクニックを紹介する。

取り上げるテクノロジー:VB.NET、C#、.NET Framework

 近年のユーザーは、アプリケーションが不具合なく安定して動くということに加え、Microsoft Officeで提供される「ポップアップスタイルウィンドウ」「不定形のフォーム」「折りたたんだりドッキングしたりできるコントロール」といった機能が提供されることも期待している。

利用例として有名なのは、MSN MessengerやOutlookで効果音と共に現れる、画面の右下のスライド表示だ

 この特集では、Windowsフォームアプリケーションのユーザーインタフェースを改良できる上記3つの機能をどのように実装すればよいのか、その基本を解説していく。

 一般にWindowsフォームは、非常に定型的なデザインに限定されている。その形状はウィンドウの「四角形」だ。

 控えめに言っても、非.NET Framework環境では、不定形な形状のフォームを作成することは難しい。しかし幸いにも、.NET Framework環境では、フォームの機能を改善したり、ちょっとした手を加えられたりする、単純で使いやすいAPIが提供されている。

乱用は避けるべき、効果的に使うポイントとは

 ただし、いくら見栄えが良くても不定形なフォームを誤用すれば、製品の評判を落とすことにもなりかねない。不定形なフォームを使うシーンとして相応しいのは、2つの場合だろう。

 ひとつは機能性だ。

 不定形なフォームが、重要なコントロールをハイライト表示したり、ユーザーに目新しい体験を経験させたり、より大きな機能性を発揮したりするのであれば、それは良い選択だ。

 たとえばWindows Media Playerは、機能性が重視された不定形なフォームの良い例といえよう。データの描画部分は、本質的にボックス内にある。しかしながら、メディアコンポーネントのような重要なコントロールはハイライト表示され、ボックスの外部に存在する。

 もうひとつは、プレゼンテーションと関係する。

 MSN Messengerのような角が丸いWindowsフォームを提供したり、企業の技術力を見せつけるスプラッシュスクリーンを作ったりするためのデザインは単純で簡単だ。

 プレゼンテーションが不定形なフォームを採用する主たる理由なら、良いデザインを試作し、できることならばデザインチームの意見も請いたいところだ。

不定形なフォームを開発する最初のステップ

 不定型なフォームをデザインするときの最初のステップは、機能性なのかプレゼンテーションなのかによって、そのデザインを設計することだ。

 フォームのデザインを設計する時には、背景に用いる画像を高品質なものにしなければならない。そうしなければ、あとでWindowsがフォームの形を描画する際にうまくいかないことがあるかもしれない。たとえば、不定形なフォームをプレゼンテーション目的で使い、MSN Messenger 6.2のような見栄えのアプリケーションを作るとしよう。

 アプリケーションで使いたい角丸の形を切り取り、画像の背景色を選んでほしい。このとき背景色の色は、賢明に選ぶようにする。

 選んだ背景色は、この画像が実際に使われるときに、フォームのTransparencyKeyプロパティとして設定することになる。

 これは、「フォームの背景色が、画像の背景色と同じであるすべての領域は、同様に透明になる」ということを意味する。そのため、ライム色やホットピンク色など、(ほとんど一般的に使われない)変わった色を選ぶことは、良いアイデアだ。このような操作は、アクセサリのペイントを使えばよい(画面1)。

画面1■正しい色を設定する

 フォームの形を決定する画像背景色を正しく設定することは重要だ。ライム色やホットピンク色などを選ぶとよい。なぜならば、これらの色はコントロールには一般的に使われていない色だからだ。

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