企業でもスパイウェア対策を――McAfeeがアドオンを発表

McAfeeは、企業向けウイルス対策製品「VirusScan Enterprise」のアドオンとして、スパイウェアに対する防御を強化する製品を発表した。

» 2004年11月16日 19時52分 公開
[IDG Japan]
IDG

 McAfeeは11月15日、企業向けウイルス対策製品のアドオンとして、スパイウェアに対する防護を強化する製品を発表した。

 「McAfee VirusScan Enterprise Edition」バージョン7.1または8.0iのユーザーは来月、新しい「McAfee Anti-Spyware Enterprise Edition Module」をデスクトップ1台に付き15ドルで購入できるようになる。カリフォルニア州サンタクララに本社を置くMcAfeeのグループマーケティングマネジャー、ジョン・ベドリック氏によると、このモジュールはスパイウェアに対するシステムの防護を強化するという。

 このスパイウェア対策モジュールは、McAfeeが8月にリリースしたウイルス対策製品の最新版VirusScan Enterprise Edition 8.0iが既に提供している防護機能の追加機能として販売される。ベドリック氏によると、8.0iの防護機能は、重大なセキュリティリスクとなっている200種類の主要なスパイウェアだけに限定されているという。

 「8.0iでは基本的に、収集した情報が(ハッカーによって)外部に送出されたり詐取されたりするものや、コンピュータのコントロールを奪うことを可能にするもの以外には対処していない」とベドリック氏は話す。

 これに対し、「この新しいアドオンプログラムは、上位200のセキュリティリスクに対する防護だけでなく、ジャンクはすべて排除したいというユーザーを対象としたものだ」(同氏)

 新しいスパイウェア用モジュールは、ユーザーのマシン上でしつこく広告をポップアップ表示させる煩わしいアドウェアをPCから除去する機能も備えるという。アドウェアのほかに、マルウェアに近いトロイの木馬やキーロガーなどもスパイウェアに含まれる。

 ベドリック氏によると、McAfeeでは来年末をメドに、スパイウェア用モジュールの機能をVirusScan Enterprise Editionの将来版に含める予定だという。

 スパイウェア対策を進めているのはMcAfeeだけではない。Computer Associates International(CA)は、スパイウェア対策ソフトウェアベンダーのPestPatrolを8月に買収した。そして同社は先週、この買収を通じて取得した「eTrust PestPatrol Anti-Spyware r5」のリリース予定を発表した

 F-Secure、Trend Micro、Symantecなどのウイルス対策ベンダーも、スパイウェア対策に乗り出している。Microsoftではスパイウェア問題に対処する予定だとしているが、詳細は明らかにしていない。

 アナリストやユーザーによると、スパイウェアはセキュリティリスクに加え、コンピュータのパフォーマンスを大幅にダウンさせる恐れがあるという。また、貴重なヘルプデスクの時間も奪うため、IT部門にとって大きな負担となりつつある。

 ヒューストンにある大手企業のデスクトップ技術担当マネジャー、トーマス・スミス氏は、「ヘルプデスクへの問い合わせの40%くらいがスパイウェア関連だ。スパイウェアは恐ろしい代物だ。現時点で最も深刻な問題だ」と話す。

 スミス氏は、約5000台のWindowsデスクトップの管理を担当している。同氏によると、スパイウェアのせいでPCにWindowsを新たにインストールしなければならないことも何度かあったという。同氏の会社ではMcAfeeのVirusScanを使っており、スパイウェア対策機能が含まれるバージョン8.0iへのアップグレードを進めているところだ。

 マサチューセッツ州ケンブリッジにあるForrester Researchの上席アナリスト、デビッド・フリードランダー氏によると、これまでウイルス対策とスパイウェア対策を統合したスイート製品がなかったため、多くの企業では、フリーソフトウェアの「Spybot Search & Destroy」やLavaSoftの「AdAware」といった個人向けスパイウェアプログラムに頼らざるを得なかったという。

 「McAfee、Symantec、CAなどのベンダーに対して、企業向けのスパイウェア製品を提供してもらいたいというニーズがあるのは確かだ。スパイウェア対策機能がウイルス対策スイートに統合されれば、企業は無償の個人用スキャニングツールではなく、これらのスイート製品を採用するだろう」とフリードランダー氏は話す。

 Anti-Spyware Enterprise Edition Moduleは、VirusScan Enterprise Edition 7.1および8.0iにプラグインして利用する。McAfeeの管理ツール「ePolicy Orchestrator and ProtectionPilot」を使えばリモートインストールも可能。同モジュールは12月の後半にリリースされる予定。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ